エイズに関連する日和見原虫感染症に対する新規創薬に関する研究

文献情報

文献番号
200500986A
報告書区分
総括
研究課題名
エイズに関連する日和見原虫感染症に対する新規創薬に関する研究
課題番号
H16-創薬-103
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
野崎 智義(群馬大学大学院医学系研究科国際寄生虫病生態学専攻分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中野 由美子(国立感染症研究所寄生動物部)
  • 山本 雅一(アリジェン株式会社)
  • 北 潔(東京大学大学院医学系研究科)
  • 浅井 隆志(慶応義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エイズに伴う重要な原虫性感染症、特にトキソプラズマ症、クリプトスポリジア症、赤痢アメーバ症に対する新規薬剤創生研究を行った。標的酵素の構造研究から具体的なシード化合物の合成・試験に至る統合的研究を通じて新規化学療法剤の実用化を目的としている。
研究方法
 トキソプラズムのヌクレオシド3リン酸加水分解酵素(NTPase)に対するリード化合物3剤を大量合成する系を構築した。これら3剤のマウスを用いた感染治療実験を行った。
 クリプトスポリジウムのシアン耐性末端酸化酵素(AOX)に対する創薬では、組換えAOXとアスコフラノン誘導体を用いて阻害実験を行った。
 赤痢アメーバメチオニンガンマリアーゼ(MGL)の1型アイソタイプの大量合成系を確立した。MGL阻害剤の第一世代トリフルオロメチオニン(TFM)誘導体を用いてインビトロの増殖阻害活性を調べた。最も有効なアミド誘導体から第二世代の群のTFM誘導体の合成を試みた。更にTFMとハムスター肝膿瘍モデル、C3H/HeJ腸炎モデルを用いたインビボ試験を行った。
結果と考察
 NTPaseに対するリード化合物のうちケルセチン、フェノールチオインドール、ナフタレリルチオインドール治療が脳内シストの現象効果を示した。NTPase構造解析における結晶化では、条件の至適化により解像度の改善が見られた。また、解糖系酵素ピルビン酸キナーゼがミトコンドリアと葉緑体に運ばれる特殊な輸送機構・機能をもつ酵素であることが明らかとなった。
 クリプトスポリジウムの組換えAOXを用いて、アスコフラノン誘導体の阻害における構造活性相関を明らかにした。トリパノソーマAOXで得られた構造活性相関とは異なった特異性が明らかにされた。特に六員環のクロロ基とメチル基の必須性が顕著であった。
 赤痢アメーバMGLを標的とする第一世代のTFMのうちアミド誘導体が最も顕著な増殖阻害及び殺原虫活性を示した。この構造を基本骨格として更にベンジル、フェニル、ヒドロキシエチルなどの誘導体7種の合成に成功した。TFMは肝膿瘍モデル、腸炎モデル両モデルにおいて優れたインビボ治療効果を示した。
結論
構造活性相関の解明、リード化合物の合成、インビトロ・インビボ評価系による薬効の評価などの重要な目標は確実に達成され、最終年度の研究発展に不可欠な成果を挙げた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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