治療ターゲットとしてのFcγ受容体を介したデング出血熱の病態形成機序の解析

文献情報

文献番号
200500985A
報告書区分
総括
研究課題名
治療ターゲットとしてのFcγ受容体を介したデング出血熱の病態形成機序の解析
課題番号
-
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
林 昌宏(国立感染症研究所ウイルス第1部第2室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
デングウイルス(DENV)は蚊によって媒介されるフラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスでありDENV 1-4型の4つの異なる型が存在する.DENVの感染により典型的な症状を示す場合一過性の熱性疾患であるデング熱(DF),致死的疾患であるデング出血熱(DHF)という2つの異なる病態を示す. FcγRはDENVの抗体依存性感染増強(ADE)に関わるとされるが、3つのクラス(I,II,III)のうちADEに関わるFcγRは同定されていない.本研究の目的はDENVのADEに関わるFcγRを同定しDHFの原因となる生理活性物質の探索を行うことである.
研究方法
2005年に得られたデング熱・出血熱患者血清33サンプルを用いてDENVの分離を行った.ウイルス分離はVero細胞あるいはC6/36細胞を用いて行った.サンプル中のDENVは型特異的プライマーを用いてTaqManPCR, RT-PCRにより検出した.次にVero細胞,Cos-7細胞を用いてFcγRIIAを強発現し、導入2日後にこれを観察した.
結果と考察
DENVの分離を行った結果患者血清33サンプル中11サンプルからDENVの遺伝子が検出された。そのうち1サンプルがDEN-2,残り10サンプルがDEN-3であった.また2サンプルよりDEN-2 (TL-30)およびDEN-3(TL-18)がそれぞれ分離されたが、TL-30のプラーク性状はTL-18より小さく異なっていた.今後分離されたDENVの解析を進め、in vitro ADEモデルに用いる。次にVero細胞およびCos-7細胞を用いてFcγRの導入を行った結果導入2日後にこれらの発現が観察された.今後DENVのin vitro ADEモデルを用いて,ADEに関わるFcγRを解析する.
結論
世界の熱帯・亜熱帯地域においてDF/DHFの流行は今後も続くことが予想されるが,その流行状況の予測は困難である.DHFはひとたび発症するとその致死率は高く,今だワクチンの開発されていない本感染症の病態形成機序を解明し,その治療法を開発することは本邦への防疫のみならず世界の公衆衛生の向上に貢献する.今回ADE病態形成機序を解明するための基盤を整えた.今後これらを用いて解析を行いADE発生メカニズムの解明を進める.

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-18
更新日
-