制癌分子標的療法の創薬と開発にかかわるブリッジングスタディーの基礎的および応用的研究

文献情報

文献番号
200500982A
報告書区分
総括
研究課題名
制癌分子標的療法の創薬と開発にかかわるブリッジングスタディーの基礎的および応用的研究
課題番号
-
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川上 浩司(東京大学大学院医学系研究科 先端臨床医学開発講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
癌細胞表面上に発現する新しいサイトカイン(Interleukin-25)の受容体をターゲットとした制癌分子標的療法をモデル開発し、その開発過程で我が国の臨床試験認可体制とアメリカFDAにおけるIND制度の差異を比較検討し、現在急務とされる先端医療開発の整備になにが必要であるかを研究する。
研究方法
IL-25とPE(ヒト正常細胞への結合部分を除去した緑膿菌外毒素をコードしたDNA)をDNAリコンビナントによって結合させることにより、IL-25受容体を標的とした新しい抗癌製剤(IL25-PE)を作成しin vitroにおける抗腫瘍効果を検討した。同製剤をモデルとして、日本においてトランスレーショナル研究、製剤の市場化を推進する際に何が必要か、システムの問題点はなにかについても合わせて検討をすすめた。
結果と考察
IL-25に関しては、現在までにヒトDNAライブラリーからPCR法によりDNAを単離し蛋白発現(pET24a)ベクターに導入し、IL-25とPE(ヒト正常細胞への結合部分を除去した緑膿菌外毒素)をコードしたDNAを結合させた人工蛋白として大腸菌の系で大量培養し、FPLCによる精製に成功した。日本において製剤の市場化を推進する際に何が必要か、システムの問題点はなにかについてもあわせて調査を開始した。現在、日本の医薬品認可行政上は、医薬品医療機器総合機構の生物系審査部において遺伝子・細胞医薬、再生医療(組織)、血液製剤などが審査を行っているが、あくまでも厚生労働省からの委託を受けて薬事法の規定による調査または審査を行うという権限しか有していない。薬事法の範疇外にある(事業性が低く対象が限られている)場合には臨床治験ではなく臨床研究として臨床試験を施行することになるが、生物製剤など先端医療に関わる剤形の場合は薬事法の範疇の内外の境界が不明瞭な部分もあり、申請者の中でも混乱が大きいことがわかった。日本においては、臨床試験の審査・管理・指導が一元化されていないことが生物製剤を開発するにあたって大きな障壁となっている感がある。さらに、研究者側としても医薬品の開発に当たっての基本的な考え方(科学的裏づけのある安全性の評価、製剤製造など)が不十分な場合もあり、知識と価値観を共有していく必要性を強く感じた。
結論
制癌分子標的療法開発をモデルに、我が国の臨床治験認可制度とアメリカFDAのIND制度の差異を比較検討し、国内の先端医学の基礎研究から創薬・市場化への開発過程の環境と方法論を検討した。法制度上の問題、研究者側の開発に対する知識と情報などに課題があることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-