ヒトの薬物体内動態の予測向上を目指した薬物代謝酵素および薬物トランスポーターの誘導に関するインシリコ予測

文献情報

文献番号
200500980A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトの薬物体内動態の予測向上を目指した薬物代謝酵素および薬物トランスポーターの誘導に関するインシリコ予測
課題番号
H16-創薬-096
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小林 カオル(千葉大学 大学院薬学研究院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
P450および薬物トランスポーターの発現に関与する核内タンパク(pregnane X receptor, PXR)が化合物と水素結合により相互作用すると推定されたPXRのアミノ酸残基(Ser247、Gln285、His407)について化合物との相互作用における重要性を検討した。
研究方法
PXRへのアミノ酸置換はsite-directed mutagenesis法により行った。レポーターアッセイは、ヒト肝がん由来細胞 (FLC7) にレポーターベクターと野生型あるいは変異型PXR発現ベクターをトランスフェクションし、Luciferase活性を測定した。PXRとcoregulator ( SRC-1eおよびNcoR) との相互作用は、mammalian two-hybrid assayにより検討した。
結果と考察
種々の置換型PXRを作成して検討した結果、rifampicinによる活性化作用を示す置換と活性化作用の非常に弱い置換が存在することが明らかとなった。また、DMSO曝露における活性が野生型に比較して高いものほどrifampicinによる活性化作用が弱くなることが示された。また、アミノ酸置換により核内レセプターのcoactivatorであるSRC-1とPXRとの相互作用は若干増強し、corepressorであるNCoRとの相互作用は弱まることが示された。さらに、PXRとSRC-1の相互作用に対するrifampicinの増強作用が置換により低下し、PXRとNcoRとの相互作用の減弱作用も低下した。これらの結果より、アミノ酸置換体では野生型に比較してDMSO曝露における活性が高く、rifampicinによる活性上昇が低い原因の一つとして、置換によりPXRとcoregulatorの相互作用が変化したことが示唆された。
結論
PXRとバルビツール酸誘導体とのドッキングにより化合物と水素結合により相互作用すると推定されたPXRのアミノ酸残基について化合物とPXRの相互作用における水素結合の重要性について検討したが、アミノ酸置換による相互作用の低下は認められず水素結合の重要性を明らかにすることはできなかった。化合物とPXRの相互作用を予測するには、構造の異なる化合物での検討を加えるとともに、水素結合以外の因子についても考慮することが必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2006-03-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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