アポトーシス関連分子EATの機能制御によるES細胞の増殖・分化培養法の開発

文献情報

文献番号
200500978A
報告書区分
総括
研究課題名
アポトーシス関連分子EATの機能制御によるES細胞の増殖・分化培養法の開発
課題番号
H16-創薬-094
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大喜多 肇(国立成育医療センター研究所発生・分化研究部機能分化研究室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
EAT遺伝子は、研究担当者らが胎児性癌細胞から単離した遺伝子で、Bcl-2関連分子でありアポトーシス抑制作用を有する。本遺伝子はマウスのモデル系において膵ランゲルハンス島β細胞の維持に重要であると考えられている。これらの基礎成果をさらに発展させ、EAT分子の機能を、特に胚性幹細胞(ES細胞)の増殖・分化ならびに膵β細胞への分化に着目して解明することを目指すことが、ヒトES細胞を含む幹細胞を用いた再生医療の推進に役立つと考えられる。
研究方法
Cre-loxPシステムを用いてEAT遺伝子をマウス個体においてノックアウトした。EATのexon 1をloxP配列で挟む変異と選択マーカーを有するマウス(3loxマウス)をCre recombinaseを発現するトランスジェニック・マウス(MeuCre40マウス)と交配することによりEATのexon 1が破壊されたマウス(nullマウス)とEATのexon 1の両端にloxP配列が挿入されたマウス(floxマウス)を得た。nullマウス、floxマウスと、胎生5日目以降の胚盤葉上層特異的にCreを発現するMEOXマウスを交配し、コンディショナル・ノックアウト・マウスを作製し、その表現形を解析した。
結果と考察
EAT nullヘテロマウス同士を交配した結果、EAT nullホモマウスは誕生しなかった。このことからEAT nullマウスは胎生致死であると考えられた。又、胚盤葉上層特異的にEATをノックアウトしたマウスは、胎生12.5日頃に胎生致死と考えられた。胎生10.5日のマウスの解析の結果、心臓および血管系の形成不全、神経上皮のアポトーシスと薄い神経上皮、拡大した脳胞が認められた。これらの結果から本遺伝子が胎仔期の組織においてもアポトーシスを抑制する作用があることが示唆された。
結論
ES細胞に発現しアポトーシスを調節する分子であるEATの胚盤葉上層特異的コンディショナル・ノックアウト・マウスは、胎生12.5日頃に致死であった。主要な異常は、心血管系と神経の異常であった。膵ラ氏島でのEATの機能解析のためには、ラ氏島特異的にEATをノックアウトする必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-03-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-