再生医療を目的としたアデノウイルスベクターによるES細胞への効率的な遺伝子導入・発現系の開発

文献情報

文献番号
200500974A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療を目的としたアデノウイルスベクターによるES細胞への効率的な遺伝子導入・発現系の開発
課題番号
H16-創薬-089
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川端 健二(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は昨年、最適化されたアデノウイルスベクターを用いてES細胞に対し高効率に外来遺伝子を導入できることを報告した。今回、このベクターを用いて機能遺伝子を導入することにより、ES細胞の分化を実際に制御可能かどうかについて検討し、再生医療へ貢献することを目的とする。
研究方法
ES細胞の分化に関与する3種の遺伝子、Oct-4、Nanog、STAT3F(STAT3のdominant-negative変異体)を発現するアデノウイルスベクターはin vitro ligation法により作成した。これらのアデノウイルスベクターをマウスES細胞に導入し、細胞分化をアルカリホスファターゼ染色あるいはRT-PCRによる発現遺伝子変化により検討した。
結果と考察
分化を誘導すると考えられている遺伝子(Oct-3/4 および STAT3F)をアデノウイルスベクターを用いて導入することで、大部分のES細胞を分化させることに成功した。また、分化したES細胞は外胚葉、中胚葉、内胚葉すべてのマーカー遺伝子(FGF5、BrachyuryT、GATA-6)を発現しており、三胚葉すべてに分化させることが可能であった。さらに、この細胞分化はES細胞の未分化維持に必須の遺伝子(Nanog)を共導入することにより抑制できることも明らかにし、我々の開発したアデノウイルスベクターを用いることで、ES細胞の分化を自由にコントロールできる可能性を示した。したがって、再生医療への応用を考えた場合、このベクターを用いることで、ES細胞から目的の治療用細胞に分化させることも可能であると考えられ、現在、血液細胞など特定の細胞へ分化させる研究を行っているところである。
結論
最適化された アデノウイルスベクターを用いて機能遺伝子を導入することにより、ES 細胞の分化を自由に制御できる可能性を示した。

公開日・更新日

公開日
2006-03-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-18
更新日
-