IT技術を用いた低コストかつ高品質な大規模臨床試験実施基盤の構築

文献情報

文献番号
200500969A
報告書区分
総括
研究課題名
IT技術を用いた低コストかつ高品質な大規模臨床試験実施基盤の構築
課題番号
H16-創薬-083
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
永井 洋士(先端医療振興財団臨床研究情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 福島 雅典(京都大学医学部附属病院)
  • 松山 琴音(先端医療振興財団臨床研究情報センター )
  • 石戸 是亘(先端医療振興財団臨床研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
IT技術を用いた低コストかつ高品質な比較臨床試験(e-トライアル)の実施体制を確立し、医師主導大規模臨床試験の汎用的基盤を構築する。
研究方法
複数の臨床試験をモデルとして、Webを介するデータ収集に適したプロトコル、症例報告書、症例登録・追跡システムを開発し、IT技術を利用した効率的な臨床試験実施体制を構築する。実際の運用を通じてその妥当性を評価し、e-トライアルの実務的基盤を確立する。また、臨床試験に必要な各種文書の作成要領を整備することで医師主導臨床試験の知的基盤を整備する。
結果と考察
脳卒中大規模ランダム化比較試験を最初のモデルとして、e-トライアルに適したプロトコル、症例報告書、Web登録・追跡システム等を昨年度に完成させた。平成18年3月現在、本システムを通じて約750症例が登録され、続々と追跡データが集積中である。とりわけ、データ入力の段階での自動論理チェックと警告メッセージの表示により、不適切データの発生が最小限に抑えられたと推定される。また、データ収集のタイミングを最適化するため、データ提出予告メール配信システムを開発し、運用している。更に、期限を過ぎても提出されない追跡データを督促するためのメール配信システムを開発中である。加えて、書き込み可能なPDFを利用して重篤な有害事象(SAE)報告の電子化を行い、その運用を開始した。本SAE報告システムには、報告を関連部署に電子メールで同時送信する機能が含まれており、集められたデータはエクセル形式への一括抽出が可能である。一方で、コンピュータ内に蓄積した膨大なデータを効率的に管理するため、効果判定に必要なデータと品質管理上のデータを区別した上で論理チェックプログラムを開発し、一定期間ごとに不適切データを抽出し、問い合わせを行うシステムを構築中である。
一方で、これまでに整備した臨床研究実施計画書、説明・同意文書、試験薬概要書、有害事象対応マニュアル等の作成要領の妥当性を評価・検証し、要望に応じて研究者に提供している。また、昨年度に整備した標準的なプロトコルフォーマットと各項目に対するテンプレート文書をソフトウェア化する作業が完了した。
結論
本研究によってe-トライアルを効率的に実施するための強力な支援ツールが整い、実質的に機能し始めた。今後、他の試験をモデルにこれらの実効性を評価し、医師主導大規模臨床試験の基盤を強化する。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
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