変異を克服した画期的抗ウイルス薬の開発

文献情報

文献番号
200500968A
報告書区分
総括
研究課題名
変異を克服した画期的抗ウイルス薬の開発
課題番号
H16-創薬-081
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
野口 博司(静岡県立大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 康夫(静岡県立大学 薬学部)
  • 菅 敏幸(静岡県立大学 薬学部)
  • 古田 巧(静岡県立大学 薬学部)
  • 佐藤 雅之(静岡県立大学 薬学部)
  • 池田 潔(静岡県立大学 薬学部)
  • 鈴木 隆(静岡県立大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多くのウイルス感染症はワクチンの開発により克服可能である。しかし、変異が激しく、病原性の高いウイルスに関しては、ワクチン効果が期待できず、変異を克服した次世代の抗ウイルス薬の開発が必須となる。本研究では、これを達成するための基盤を創成する
研究方法
発育鶏卵または組織培養細胞により分離、増殖させ、密度勾配遠心で精製した。TLC/virus受容体結合特異性アッセイ法、ELISAを基盤としたフェツインを用いるウイルス結合競合阻害実験、またはシアロ糖鎖ポリマーを用いるウイルス結合特異性アッセイ法によった。ウイルス膜蛋白質に高い親和性を持つと考えられる種々のカテキン類、ポリフェノール類や人工リン脂質、さらに新規シアル酸誘導体をデザインし、その合成を行った
結果と考察
ヒトから分離された高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1)はいずれのシアロ糖鎖にも結合できることを見出した。
初代培養ヒト気道上皮細胞には、これまで知られていたヒトインフルエンザウイルスに対する受容体シアロ糖鎖の他にトリインフルエンザウイルスに対するシアロ糖鎖も存在することを見出した
食用「燕の巣」をプロテアーゼ処理し、水可溶性画分を凍結乾燥したものはインフルエンザウイルス(A、B型)の感染を強く阻害することを見出した。
強い抗ウイルス活性を持つ分子に特有な 2,3-cis 型のカテキン骨格の効率的な構築に成功し、誘導体の合成に生物有機科学的手法によるライブラリー化も展開した。
シアル酸の4位の水酸基にチオフェニルエテニル基を有する化合物が、hPIV-1感染を従来のチオアミド誘導体よりも強力に阻害することを見出した。
結論
インフルエンザウイルスのへマグルチニンタンパク質を切断し、ウイルス感染阻害出来るリン脂質誘導体、抗インフルエンザ活性を持つカテキン類の新規合成、パラインフルエンザウイルス感染を強く阻害するシアル酸誘導体の合成などを達成した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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