霊長類ES細胞の無フィーダー、無血清培養を用いた新しい未分化維持増殖培養法と血液細胞分化制御系の開発

文献情報

文献番号
200500962A
報告書区分
総括
研究課題名
霊長類ES細胞の無フィーダー、無血清培養を用いた新しい未分化維持増殖培養法と血液細胞分化制御系の開発
課題番号
H16-創薬-070
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
湯尾 明(国立国際医療センター研究所血液疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 靖(田辺製薬株式会社先端医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,510,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
霊長類胚性幹細胞(ES細胞)はその無限増殖能と多能性分化能とから再生医療における有望な材料と期待されている。しかし、再生医療への応用のためには、異種動物由来成分の混入を回避する必要がある。即ち、霊長類ES細胞の研究に際しては牛胎児血清を用いない培養系でしかも「霊長類フィーダー細胞」を用いるか「無フィーダー培養」を確立することが重要である。本研究では、カニクイザルES細胞を用いて、この様な課題に望んだ。
研究方法
未分化維持増殖培養においては、KSRを用いてMEFの培養上清や特定の増殖因子等を添加して実験を行った。分化培養においては、フィーダー細胞としてはC3H 10T 1/2 細胞と特定の増殖因子、サイトカインを用い、無フィーダー培養としてはconditioned dishを試みた。ES細胞は、カニクイザルES細胞を中心として、一部の実験においてはヒトES細胞やマウスES細胞を用いた。
結果と考察
サルES細胞を用いて、KSR含有無血清培地中でマトリゲル上においてNoggin、FGFを添加して無フィーダー培養を行い、長期にわたって安定した増殖と未分化維持が可能であった。さらに、ヒトES細胞においてもマトリゲル上、MEF培養上清添加で、無血清、無フィーダー未分化維持増殖培養を試み、良好な未分化維持増殖状態を達成できた。サルES細胞を用いた分化培養に関しては、10T 1/2 細胞との共培養を行ったところ、2週間目においてシート状コロニーが多数認められ、CD34陽性細胞が25%程度認められた。さらにこれに胚様体形成を組み合わせることによりCD34陽性細胞の増加を見た。無フィーダー分化培養の新しい試みとして、C3H 10T 1/2 細胞のconditioned dishを作成して用いたところ、敷石状の細胞が観察され、CD34陽性細胞が出現した。また、一部の実験において、マウスES細胞を用いて、ケイカルライブラリーから未分化維持機能を有する低分子化合物の検出を試み、数種の化合物が未分化維持機能を有することが明らかになった。
結論
カニクイザルES細胞を用いて、無血清、無フィーダー等の動物成分を排除する培養法の開発を進めることができた。また、一部、ヒトES細胞やマウスES細胞を用いた実験において同様の方向性に貢献する成果を得られた。

公開日・更新日

公開日
2006-03-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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