新しい修飾技術を用いた再生医療用生物由来素材の開発

文献情報

文献番号
200500961A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい修飾技術を用いた再生医療用生物由来素材の開発
課題番号
H16-創薬-069
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
岸田 晶夫(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 藤里 俊哉(国立循環器病センター研究所 先進医工学センター 再生医療部)
  • 白数 昭雄(ニプロ株式会社 総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,830,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
絶対的なドナー不足である脳死臓器移植、再生医療あるいは既存の人工臓器・医用材料の欠点を克服するため、新しい生体材料の必要性が高まっている。本研究では生物由来組織の高機能化を実現するための、新しい加工法について検討を行う。これにより、複雑な構造でも造形する必要がなく、あるいは生体と同等の力学特性を有する再生医療用素材を、高機能化することが期待できる。
研究方法
スキャフォールド作成法として、我々が開発した超高圧印加法を用いている。この超高圧処理法の、血管および心臓弁に対する最適条件について検討した。超高圧処理を行う際の、処理温度および加圧速度を種々変化させ、組織切片および透過型電子顕微鏡観察により、組織の構造変化や脱細胞化効率について検討を行った。
上記のスキャフォールドへの機能性分子の複合化の基礎研究として、抗血栓性の合成高分子であるポリメチルメタクリロイルホスファチジルコリン(MPCポリマー)のコラーゲン組織との複合化について検討した。MPCポリマーを架橋材として用いるコラーゲンのゲル化法について検討した。さらにコラーゲンの架橋による人工血管の可能性について、動物実験を行い、検討した。
結果と考察
超高圧(10,000気圧)処理について、加圧開始時の温度が低すぎると加圧途中で氷結する可能性がある。また、あまりに温度が高すぎると、組織変性をおこす。水の状態図と対応させ、加圧速度と加圧開始時の温度を変化させた場合の氷結を避け、さらにタンパク質の変性温度(42℃)以上の温度上昇をさける条件を設定した。この条件で処理した血管・心臓弁組織は、繊維性組織の形態も未処理と同等に保たれており、さらに脱細胞化の効率も十分高かった。
コラーゲン製人工血管では、動物実験では繊維芽細胞の浸潤と内皮化の完成の時期がずれると、内膜肥厚から閉塞に至る問題点を明らかにし、これについての対処法について検討中である。
機能分子複合化については、細胞接着と非接着を制御する製造方法について詳細な条件設定を行った。いずれの場合にも、コラーゲン架橋体の問題点である、経持的な収縮をさけることを第一目標に揚げ、これを達成できる架橋条件を見いだした。
結論
種々の生体由来材料を用いて、再生医療用スキャフォールドとしての可能性を検討した。脱細胞化組織とコラーゲンおよび機能性ポリマーを組み合わせることにより、優れたスキャフォールド開発の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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