血管新生の制御による虚血系疾患治療薬の開発に関する基礎的研究

文献情報

文献番号
200500959A
報告書区分
総括
研究課題名
血管新生の制御による虚血系疾患治療薬の開発に関する基礎的研究
課題番号
H16-創薬-066
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 宏治(三重大学医学部)
  • 関 泰一郎(日本大学生物資源科学部)
  • 鶴田 一壽(旭化成ファーマ株式会社医薬開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は、血管新生促進因子であるトロンビンによるマウス乳がん細胞の浸潤促進に要する有効濃度をトロンボモジュリン(TM)が顕著に低下させることを最近見出した。そこで本研究では、血管新生の制御法を探索し、虚血性疾患治療薬の創出に向けた基礎的知見を得ることを主な目的としてトロンビン・TMの作用及び他の血管新生促進因子の発現調節について検討を行った。
研究方法
1.HUVECに各因子を添加し培養後、細胞数を計数した。2.ラット角膜に各因子を含むペレットを移植後ペレットに向かって伸長した血管の数を計数した。3.カニクイザルにLPS溶液を投与し炎症を惹起後、TMを投与した。採取した血液において血小板数を測定すると共にTNF-α及びIL-6の値をELISAにより測定した。4.PCNAは70%部分肝切除ラットからの肝臓あるいは培養肝細胞抽出物の遠心上清を用いてウエスタンブロッティングにより測定した。肝細胞の表面に結合したplasminはトラネキサム酸により離脱させ回収した。肝組織中および肝細胞膜中のplasmin, PA, MMPの活性はzymographyにより測定した。
結果と考察
1.TM はHUVEC の増殖を促進しその促進はヒルジンにより完全に消失したことから、TMはHUVECの増殖促進に必要なトロンビンの有効濃度を低下させる可能性が示唆された。2.VEGFによる血管形成の促進はTMにより有意に増強されたことから、TMの協調的作用が示された。3.LPSの投与によるTNF-αの上昇はTMの投与により低下したことから、TMが炎症を抑制する可能性が示唆された。4.肝部分切除および肝細胞の増殖刺激により、uPA、MMP-2活性の増加およびplasmin活性の膜への結合が増加した。肝細胞においてplasminogenによる uPA活性の増加はplasminの細胞膜結合の阻害剤により抑制されたことからplasminの細胞膜への結合の関与がが示唆された。
結論
1.TMはHUVECの増殖を促進した。2.ラット角膜におけるVEGFの血管新生促進はTMにより有意に増強された。3.カニクイザルにおいてTMはLPS投与によるTNF-αの増加を抑制した。4.ラット部分肝切除および肝細胞の増殖刺激によりuPA、MMP-2活性およびplasmin活性の膜への結合が増加した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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