プロテインチップ、DNAマイクロアレイ等の新しい技術を用いた診断法の有用性とその評価手法に関する研究

文献情報

文献番号
200500958A
報告書区分
総括
研究課題名
プロテインチップ、DNAマイクロアレイ等の新しい技術を用いた診断法の有用性とその評価手法に関する研究
課題番号
H16-創薬-065
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 孝昌(国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊勢 伸之(富士レビオ株式会社)
  • 牛澤 幸司(第一化学薬品株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ゲノム情報を利用した新しい解析手法としてのDNAマイクロアレイやプロテインチップなどを診断手法として利用するには、用いるアレイやチップの品質の恒常性をどのように担保するか、また診断指標としての有効性をどのように評価するか等、今までにない視点に立った評価が求められる。本研究では、これらの有効利用に関して検討を行うとともに、それらを用いた臨床診断におけるデータ評価法および判定基準の確立をめざす。
研究方法
Human Mapping 10K 2.0 Array (Affymetrix)を用い、SNP判定を行うとともに、LOH領域を判定した。さらに、シグナル強度の解析により、CGH法としての応用を検討した。
電流検出型DNAチップを用いたHPVの遺伝子型判定のため、13種のHPV遺伝子型判定に対応するマルチプレックスのLAMP法による増幅を検討し、子宮頸部より採取されたHPV遺伝子を含む試料を用い有効性を検討した。
抗体を用いたプロテインチップに関する検討においては、反応平衡論的な理論計算式の作成及び実験による検証を行い、理論計算式を用いて感度限界に関する考察を行った。さらに、抗体作製方法としてDNA免疫法に関して検討を行った。
結果と考察
SNP検出用GeneChipは網羅的なSNP検出系としてデータの信頼性も高く、有用である事がわかった。また、シグナル強度から染色体コピー数の算出も可能であり、より詳細なCGH法としても有用であることが明らかになった。さらに、LOHを簡便に検出でき、他の方法では検出が難しかったuni-parental disomyを検出できた。
電流検出型DNAチップを用いたHPVの遺伝子型判定について臨床検体を用いて検討を行った結果、本HPV検出系は、DNAマイクロアレイを原理とする診断手法の判定基準作りおよびその妥当性を検証する具体的なケースとして臨床応用可能な系であると考えられた。
抗体を用いたプロテインチップに関する検討においては、理論反応式による抗原抗体反応シミュレーションと、実際に構築したイムノアッセイ系による検証を行い、反応場の固相抗体量と感度との相関を厳密に評価し、高感度プロテインチップ構築の必要条件の確認を行った。また、DNA免疫法が通常の蛋白質免疫法よりも一桁から二桁以上高アフィニティーの抗体を取得し得る方法であることが確認された。
結論
各種のDNAマイクロアレイおよび抗体アレイを用いた検討において、これらを臨床診断として用いる際の基本的な要件に関して理解が深まった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200500958B
報告書区分
総合
研究課題名
プロテインチップ、DNAマイクロアレイ等の新しい技術を用いた診断法の有用性とその評価手法に関する研究
課題番号
H16-創薬-065
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 孝昌(国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊勢 伸之(富士レビオ株式会社)
  • 牛澤 幸司(第一化学薬品株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ゲノム情報を利用した新しい解析手法としてのDNAマイクロアレイやプロテインチップなどを診断手法として利用するには、用いるアレイやチップの品質の恒常性をどのように担保するか、また診断指標としての有効性をどのように評価するか等、今までにない視点に立った評価が求められる。本研究では、これらの有効利用に関して検討を行うとともに、それらを用いた臨床診断におけるデータ評価法および判定基準の確立をめざす。
研究方法
既存のDNAマイクロアレイとして Macrogen社のBAC CGHアレイ(MAC Array スライド)およびAffymetrix 社のGeneChip(Human Mapping 10K 2.0 Array )を用い、CGHおよびSNP判定を行った。
また新規のアレイとして、HPVの遺伝子型判定のため電流検出型DNAチップを開発した。13種のHPV遺伝子型に対応するマルチプレックスのLAMP法による増幅を検討し、子宮頸部より採取されたHPV遺伝子を含む試料を用い有効性を検討した。
プロテインチップに関する検討においては、抗体の固相化方法の基礎を検討した。また、反応平衡論的な理論計算式の作成及び実験による検証を行い、理論計算式を用いて感度限界に関する考察を行った。さらに、抗体作製方法としてDNA免疫法に関して検討を行った。
結果と考察
アレイを用いたCGH法は、従来の手法に比べてより簡便で、詳細な解析が可能であることが示された。また、データの評価に関して、Y染色体上のプローブの利用が有効であることがわかった。SNP検出用GeneChipはデータの信頼性も高く、網羅的なSNP検出系として有用であった。また、CGH法、LOHの簡便な検出系としても有用であることが示された。
電流検出型DNAチップを用いたHPVの遺伝子型判定では、電流のカットオフ値をバックグラウンド電流+3SDに設定して評価した結果、配列特異的な検出が確認できた。チップ内での同時再現性はCV値で5%以下であった。臨床検体を用いて検討を行った結果、本HPV検出系は臨床応用可能な系であると考えられた。
抗体アレイ作成技術に関して基礎的検討を行い、プラスチック基板上に化学的結合方法で抗体を高密度に固相化可能であることが確かめられた。また、DNA免疫法が通常の蛋白質免疫法よりも一桁から二桁以上高アフィニティーの抗体を取得し得る方法であることが確認された。
結論
各種のDNAマイクロアレイおよび抗体アレイを用いた検討において、これらを臨床診断法として応用する際に重要となる評価基準を考える上で、有用な基礎的知見を蓄積することができた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500958C

成果

専門的・学術的観点からの成果
CGH、SNPアレイに関しては、染色体の安定性の解析への応用が有効であることが示された。それぞれの特徴を明らかにするとともに、これまで検出不可能であった組み合え型の染色体変化に関しても検出することができた。ウイルスの遺伝子型判定のためのアレイに関しては、電流検出型という独自の技術による迅速な検出法を用い、臨床応用の段階へ進んでいる。抗体アレイに関しては、技術的に克服すべき課題を明らかにし、その改良を進める事ができた。
臨床的観点からの成果
ファーマコジェノミクスデータの臨床利用が推奨されているが、その際に必要とされる遺伝子型の判定などにおいて、今後マイクロアレイ等を用いた診断手法の応用が期待される。その際に、そうした新しい技術の有効性を評価するための基準づくりが望まれているが、本検討での実際のアレイデータの検討を通じて、有益な基礎情報を得る事ができた。また、ヒトパピローマウイルスの遺伝子型判定法に関しては、臨床サンプルを用いた解析を行い、実際の臨床応用が進められている。
ガイドライン等の開発
本研究はその成果をマイクロアレイ等を用いた新しい診断手法の臨床応用に関するガイドラインに直接反映させることを最終的な目標としている。今後、本検討において明らかとなった課題や問題点について、それらを担保するために必要な評価基準を作成する予定である。
その他行政的観点からの成果
今後、マイクロアレイを使った診断法の評価基準を作成するにあたり、重要な基礎データを得ることができた。既に欧米ではP450の多型を検出するためのGeneChipの臨床応用への承認がされており、本邦においても同様な申請が近々なされる状況になっている。こうした行政的ニーズに適応するためにも、今回の官民共同の検討成果は有益であると考えられる。
その他のインパクト
主任研究者等はCGH、SNPアレイを用いた染色体解析法に関して、昨年度の日本環境変異原学会にて研究発表を行い、ベストプレゼンテーション賞を受賞した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
5件
Mutation Res.,Proteomics,Environ. Mol. Mutagen.,J Steroid Biochem Mol Biol.
学会発表(国内学会)
5件
日本環境変異原学会大会、日本癌学会総会、日本動物実験代替法学会大会
学会発表(国際学会等)
2件
Intl. Sympo. on Intl. Harmonization on Biopharmaceuticals 国際環境変異原学会サテライトシンポジウム"トキシコゲノミクス" 
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
P2004-181101 「核酸増幅法を用いたヒト乳頭腫ウイルスの検出」
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-