脂質輸送を制御する生活習慣病予防薬開発のための基礎的研究

文献情報

文献番号
200500957A
報告書区分
総括
研究課題名
脂質輸送を制御する生活習慣病予防薬開発のための基礎的研究
課題番号
H16-創薬-061
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
最上 知子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 横山信治(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 藤本康之(帝京大学薬学部)
  • 坂井薫(三菱ウェルファーマ(株)創薬第2研究所)
  • 杉本佳奈美(三菱ウェルファーマ(株)創薬第2研究所)
  • 松倉竹雄(あすか製薬(株) 西東京研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血管壁マクロファージなどにコレステロールが蓄積すると動脈硬化の原因となる。HDL(High Density Lipoprotein)はコレステロール細胞外に運び出し、胆汁酸への転換・排泄の場である肝臓に輸送する機能を持つ。本研究では、[1]末梢細胞でのHDL産生、[2]肝臓でのコレステロール・胆汁酸排出の促進により動脈硬化性疾患を防ぐ新たな方法を探るとともに、[3]コレステロールの胆汁酸への転換促進がもたらす抗肥満・抗糖尿病作用の機序を明らかにする。
研究方法
膜トランスポーターATP-binding cassette transporter A1(ABCA1)の発現増加によるHDL形成の促進を図る。肝臓でのコレステロール・胆汁酸排出の促進に関与する脂質メディエーターを同定する。コレステロールの胆汁酸への転換を促進する胆汁酸吸着樹脂による抗肥満・抗糖尿病作用を解明する。
結果と考察
[1]HDL産生の促進:(1) カルシウムアンタゴニストverapamilのABCA1遺伝子プロモーター活性化に関与するDNA配列を同定するとともに、(2)HDL形成の場である細胞表面ABCA1への細胞内コレステロール輸送について、アポA-I結合によるPKC活性化などの情報伝達を明らかにした。また、(3)オートクリン機構による肝細胞HDL形成、(4)ABCA7によるHDL形成機構を明らかにした。(5) ACSの阻害剤Triacsin Cによる脂肪滴の形成抑制と退縮効果を見いだした。
[2] 肝臓でのコレステロール・胆汁酸排泄の促進と抗肥満・抗糖尿病作用:(1) 胆汁酸排泄ポンプBSEP発現を制御する胆汁アルコールA/B環立体配位の役割を明らかにした。 (2)胆汁酸吸着樹脂投与が強い抗肥満作用ならびに強力なインスリン抵抗性改善作用を示すことを見出した。
結論
動脈硬化抑制の新手法として、末梢細胞でのHDL形成に関わるABCA1に着目し、verapamilによる遺伝子転写促進に関わるプロモーター配列、細胞内コレステロール輸送を制御する脂質蛋白質複合体、ABCA7および血清アミロイド蛋白質(SAA)によるHDL形成、脂肪滴形成抑制と退縮促進薬剤を見いだした。また、肝臓からの胆汁酸排泄を制御する胆汁アルコールの構造活性に関する新知見を得るとともに、胆汁酸吸着樹脂のインスリン抵抗性改善作用を見いだした。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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