気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)重症化機序の分子細胞システムとしての理解に基づく新たな制御方法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200500954A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)重症化機序の分子細胞システムとしての理解に基づく新たな制御方法の確立に関する研究
課題番号
H16-創薬-055
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松本 健治(国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤博久(理化学研究所横浜研究所免疫アレルギー科学総合研究センター アレルギー遺伝子研究ユニット)
  • 山名研司郎(日研化学医薬研究所)
  • 福田好晃(第一アスビオ生物医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)における組織の非可逆的な変化(リモデリング)の発症機序や病態を網羅的な遺伝子の発現解析法を用いて解析し、組織全体、細胞全体のシステムとして理解した上で、責任分子群を制御することによる特異的なアレルギー疾患の治療法を開発することを最終目標とする。
研究方法
1. 気道上皮細胞を細菌由来物質やRSウイルスで刺激後、網羅的な遺伝子発現解析を行った。
2. 臍帯血造血幹細胞由来マスト細胞や成人末梢血造血幹細胞由来マスト細胞と成人肺由来マスト細胞の網羅的な遺伝子の発現解析を行った。
3. LPS慢性暴露によるCOPD様の慢性好中球性炎症モデルを作成し、ステロイド剤やテオフィリン投与の影響を網羅的な遺伝子の発現解析にて検討した。
4. ヒト気道上皮細胞株NCI-H292を用いたin vitroムチン産生評価系の構築を行った。また、in vivoモデルとして卵白アルブミン感作マウス喘息モデルの抗原惹起のプロトコールを詳細に検討した。
結果と考察
1. 気道上皮細胞をPeptidoglycan刺激すると炎症関連分子群の強い発現誘導が、PolyIC刺激ではIFN誘導性の抗ウイルス活性分子群が、RSV感染ではIFN誘導遺伝子と炎症性サイトカイン・ケモカインなどが強く誘導された。
2. 他のマスト細胞と比較して臍帯血造血幹細胞由来マスト細胞に強く発現している遺伝子群にはTLR2など132の遺伝子が、また発現が弱い遺伝子群にはFCER1Aなど428の遺伝子が含まれていた。
3. LPS慢性暴露により2倍以上誘導を受けた214遺伝子の内、DexamethasoneもしくはTheophyllineの投与の投与によってそれぞれ138、47遺伝子について50%以上の抑制を認めた。
4. サイトカイン刺激によって強いMucin遺伝子群の発現増加を認めた。また、マウス喘息モデルでは抗原惹起のプロトコールの検討により極めて高い気道過敏性が誘導された。
結論
 気管支喘息やCOPDの病態に特異的な遺伝子の発現解析を行うために、慢性好中球性炎症モデルや気管支喘息モデル、気道上皮細胞の刺激系などを確立した。また、病態に関わる炎症細胞の網羅的な遺伝子発現解析も行った。以上の成果は初年度の計画にほぼ沿った進捗状況であり、平成18年度以降の更なる発展が期待できる結果と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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