C型肝炎ウイルスの感染・複製系の確立とその応用による抗ウイルス療法の開発

文献情報

文献番号
200500951A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎ウイルスの感染・複製系の確立とその応用による抗ウイルス療法の開発
課題番号
H16-創薬-050
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
脇田 隆字(財団法人東京都医学研究機構 東京都神経科学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 溝上 雅史(名古屋市立大学 医学研究科)
  • 勝二 郁夫(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 曽根 三郎(東レ株式会社 医薬研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HCV感染に対する新たな治療法の開発が望まれているが、HCVの良いウイルス培養系が無いことが妨げになってきた。本研究の目的は、これまでにない高い効率で培養細胞において複製可能なJFH-1株を用いて、全長HCV遺伝子の培養細胞におけるウイルスRNA複製系および感染系を確立し、新たな抗ウイルス戦略の構築に供することである。
研究方法
HCVの感染過程の解析:CD81による感染の阻害機構をウイルス感染実験系を用いて解析する。
レポーターレプリコンの作製:JFH-1株のレプリコンにルシフェラーゼ遺伝子を挿入したレポーターレプリコンを作製した。
三次元培養系を用いた全長ウイルスゲノムHCVレプリコン細胞の培養とHCV RNA複製および感染性の評価
HCVレプリコン高複製能細胞のスクリーニング:突然変異誘発剤を用いてHuh7細胞でレプリコン複製能の高い細胞の作製を試みた。
結果と考察
HCVの感染過程の解析:heparinおよび、heparinaseはともにHCVのHuh7細胞への吸着を低下させた。しかしこれらの処理は、HCVの感染性は阻害しなかった。
レポーターレプリコンの作製:IFNの濃度依存性にレポーターレプリコンの増殖抑制効果を認め、JFH1株の増殖がIFN投与により抑制されることが確認された。RBVでもIFNに比較すると著しく弱いものの臨床的血中濃度(3 μg/ml)でのHCV増殖抑制作用が観察され、その効果は濃度依存性であった。
三次元培養系を用いた全長ウイルスゲノムHCVレプリコン細胞の培養とHCV RNA複製および感染性の評価:遺伝子型1bのHCV RNAを持続的に複製するRCYM1細胞をRFBで三次元培養したところ、HCV様粒子が産生された。このHCV様粒子を含む培養上清をnaiveなHuh7細胞へ接種したところ、72時間後にHCV RNAおよびHCV蛋白の発現が認められ、感染の成立が認められた。
突然変異誘発剤によるHCVレプリコン高複製能細胞株の取得:突然変異誘発剤で処理した細胞からクローン化した細胞にHCVレプリコンRNAを導入し、その複製能をルシフェラーゼ活性で検出した結果、親株と比較して、複製能が4-6倍高いクローンが4株得られた。
結論
今年度の研究によりJFH-1株による実験系がウイルス培養系としてさらに確立した。この実験系によりこれまで困難であったウイルス粒子の形成および分泌過程の研究、ウイルス感染に必要なレセプターのクローニングなどの研究が可能となり、その成果を利用して新たな抗ウイルス療法や予防法の開発を進めていきたい。

公開日・更新日

公開日
2006-04-07
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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