ボツリヌス神経毒素有効成分を利用したジストニア・痙縮等の治療法の確立と筋萎縮性側索硬化症に対するdrug delivery systemの開発

文献情報

文献番号
200500949A
報告書区分
総括
研究課題名
ボツリヌス神経毒素有効成分を利用したジストニア・痙縮等の治療法の確立と筋萎縮性側索硬化症に対するdrug delivery systemの開発
課題番号
H16-創薬-047
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
梶 龍兒(徳島大学 医学部感覚情報医学講座神経情報医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 小崎俊司(大阪府立大学大学院 農学生命科学研究科)
  • 小熊惠二(岡山大学大学院医歯薬総合研究科 病原細菌学)
  • 高橋元秀(国立感染症研究所 細菌第2部第3室)
  • 原川哲博(化学及び血清療法研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国で現在脳血管障害の後遺症に悩む患者は100万人以上と推定されている。痙縮はその後遺症で最大の病態で歩行など日常生活動作が障害され社会的にも大きな負担となっている。 本研究はボツリヌス毒素製剤を単離・精製し、その安全性・有効性を確立し、臨床応用を進める上の基礎を築き、神経細胞特異的なdrug delivery systemを開発するための基礎研究を行うことを目的とする。
研究方法
(1) A型神経毒素中和抗体認識部位の検索
(2) 神経毒素重鎖C末端領域(Hc)リコンビナント蛋白の調製と受容体結合活性
(3) 毒素の安全性として肝炎ウイルスB(PCR), C (RT-PCR), およびAIDSウイルス (RNA高感度定量法)による汚染の有無、プリオンの汚染「プリオンチェックWB」を用いて培養細胞に対する障害性も検討した。
(4) 製造方法の改良
(5) 動物とヒトにおける検討:ウィスターラットを用いて、従来から用いられているA型毒素(BOTOX)と、新たな神経毒素(NTX)の筋緊張低下作用を後肢筋の筋活動電位(CMAP)により比較した。また本治療薬の主要な対象疾患である筋緊張亢進症の病態生理について神経生理学・病理学的手法を用いて検討した。
結果と考察
神経毒素重鎖の持つ機能を利用したdrug delivery systemを構築するためには毒素の持つ受容体結合部位を担う重鎖C末端領域(HC; 50 kDa)の調製し、その機能を確認することが必要と考え、リコンビナント蛋白の精製を進めている。現在、A, B, C, D型HCの調製を完了した。A, C, D型毒素受容体の同定を試みた。C、D型神経毒素は他のA、B型と異なり脂質成分を受容体とすることが示唆され、毒素が細胞内に侵入する際に、毒素の型により異なる機構をとる可能性があることが分かった。HAの生理的・免疫学的役割については、今回B型で検討を行ったが、A型毒素においても同様の方法で検討中である。これらの結果よりこのHAを欠くNTXは抗体産生能が低いことが支持され、臨床的に抗体を作らず、大量投与が可能で安全な製剤を開発できる見通しがついた。
結論
抗体ができにくいためより大きな筋に用いることができ、安全でより有効性の高い筋緊張緩和薬を開発するめどがたち、drug delivery systemとして重鎖を利用する上で必須である受容体の解明が予想以上に進めることができた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-20
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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