臨床薬理学的視点による薬効ゲノム情報活用のための基盤研究

文献情報

文献番号
200500947A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床薬理学的視点による薬効ゲノム情報活用のための基盤研究
課題番号
H16-創薬-045
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
東 純一(大阪大学大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 総一郎(国立病院機構刀根山病院)
  • 坂谷 光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学)
  • 高嶋 哲也(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
  • 景山 茂(東京慈恵会医科大学・総合医科学研究センター)
  • 伊藤 継孝(薬効ゲノム情報株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、臨床薬理学的な治療上のエビデンスを構築するための指針となる成果を提供することおよびそれら臨床研究を支える基盤を整備することである。
研究方法
臨床的な表現型として肝障害を取り上げ、モデル薬物として結核治療薬イソニアジド、解熱鎮痛薬アセトアミノフェン、肺高血圧症治療薬ボセンタン、高尿酸血漿治療薬ベンズブロマロンを対象とした。疫学調査の結果に基づき、適切なPGx/TGx試験の実施にむけた諸問題を検討する。遺伝子解析に関わる文書同意が得られた被験者に対し候補分子の遺伝的多型を解析し、臨床試験時の肝機能の変化等との関連を解析する。
結果と考察
(研究結果)
それぞれの薬剤毎にエビデンスの創出に向けた方法論を検討した。イソニアジドについては、NAT2遺伝情報を用いる結核治療法の有用性を検証するため、肺結核患者を対象に多施設ランダム化比較試験を開始した。構築した臨床試験管理システムは問題なく稼働し、症例登録から進捗管理まで円滑に行われていた。グローバルな検討に関しては、ドイツの研究者との合同会議を開き、詳細を討議した。アセトアミノフェンは予備調査を終了し、ボセンタンについては11施設で患者を対象とした疫学調査を開始した。さらに、ベンズブロマロン誘発性肝障害の関連遺伝子多型について、その体内動態に対する影響を明らかにした。
(考察)
従来の結核化学療法とNAT2遺伝子多型に基づいたゲノム与薬法の比較試験を行うに際し、前向きのPGx臨床試験に特有の科学的・倫理的側面を熟慮して、新たな実施体制を構築した。遺伝子解析施設での個人情報管理にも万全を期し、臨床試験は円滑に運営されている。一方、ボセンタンやベンズブロマロンの研究は、臨床薬理学的視点から薬効ゲノム情報を活用し、薬剤性肝障害の発症要因を解析するものであり、将来の有害事象発生を回避するための貴重な臨床研究である。
結論
モデル薬物につき、それぞれの特性に合わせ、異なるアプローチで、遺伝子解析を伴う臨床研究の方法論を吟味した。今年度の研究を通じて、臨床研究計画には重大な問題がなく、完遂は可能であることが判明した。しかし、良質な研究成果を得るには、実施医療機関の環境整備が緊急課題であることも浮き彫りにされた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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