プロテオミクス及び構造生物学的アプローチ等を用いたバイオ医薬品の特性解析・品質評価技術の開発

文献情報

文献番号
200500945A
報告書区分
総括
研究課題名
プロテオミクス及び構造生物学的アプローチ等を用いたバイオ医薬品の特性解析・品質評価技術の開発
課題番号
H16-創薬-043
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部)
  • 石川リカ(キリンビール株式会社医薬カンパニー生産本部)
  • 名渕義明(中外製薬株式会社分析技術研究部)
  • 菅原敬信(化学及び血清療法研究所菊池研究所)
  • 山口秀人(アステラス製薬株式会社技術開発本部創薬研究所)
  • 秋丸仁朗(大日本住友製薬株式会社研究本部)
  • 矢野敬一(協和発酵工業株式会社バイオフロンティア研究所)
  • 長谷純宏(大阪大学大学院理学研究科)
  • 掛樋一晃(近畿大学薬学部)
  • 加藤晃一(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオテクノロジー応用技術の進歩により、様々なタンパク質がバイオ医薬品として開発されている。本研究の目的は、プロテオミクスや構造生物学の高度な分析技術をバイオ医薬品の特性解析・品質評価に活用し、バイオ医薬品研究開発、品質評価、及び品質管理の迅速化・簡便化・微量化・効率化・高精度化を図ることである。
研究方法
抗体医薬品、インターフェロンアルファ、セルロプラスミン、及びサブスタンスP等をモデルペプチド・糖タンパク質として用いた。組織・培養細胞由来糖鎖をモデル糖鎖として用いた。
結果と考察
バイオ医薬品の製造方法、特性解析法、規格試験法、安定性評価法に関する研究を実施し、以下のような成果が得られた。
1) 製造方法:MDCK細胞を培養基材とした、現行卵由来ワクチンと同等の免疫原性を有するインフルエンザワクチンの大量培養法を確立した。また、高いADCC活性を有する抗体医薬品の精製法を見出した。
2) 特性解析法:糖鎖解析に関する研究として、LC/MS/MS、データベース検索、及びエキソグリコシダーゼ消化を組み合わせた部位特異的糖鎖構造解析法の開発、及び各種LCや標識法を用いた糖鎖プロファイリング法の応用可能性の評価と糖鎖データベースの充実化を行った。また、糖鎖ライブラリーとNMRを用いたレクチンと糖鎖の相互作用解析を行った。さらに、リン酸化プロテオーム解析に基づく生物学的性質評価法開発の一環として、リン酸化ペプチドの効率的な濃縮に成功した。
3) 規格試験法:MS/MSを用いたペプチド性医薬品の確認試験やペプチドマッピングの判定基準として、一次構造の確認に必要なプロダクトイオンを多数設定できることを確認した。また、LC/MSを用いて、電荷的に異なるタンパク質構造由来の類縁物質の定量的測定が可能であることを明らかにした。さらに、修飾試薬とMSを用いたペプチドマッピング、及びH/D交換とMSの組み合わせは、高次構造評価に応用可能であることが示唆された。
4) 安定性評価法:分光学的手法及び熱分析は物性・安定性の良い処方を短時間に効率的に選択する方法として有用であることを見出した。
結論
本研究の成果は、バイオ医薬品の研究開発における特性解析、品質評価、品質管理に大いに役立つものであり、今後さらに、日本薬局方における試験法の整備等にも貢献できるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-05-17
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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