医薬品適正使用のためのヒト薬物動態評価法の開発と応用

文献情報

文献番号
200500944A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品適正使用のためのヒト薬物動態評価法の開発と応用
課題番号
H16-創薬-042
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
頭金 正博(国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 昇(国立がんセンター中央病院)
  • 川合 良成(ノバルティスファーマ)
  • 関口 金雄(ファイザー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品を適正に使用するためには、個別の患者での薬物動態に影響を与える因子を正確に評価することが必要になる。そこで、本研究課題においては、特定の患者集団等での薬物動態特性と背景因子との関係を調べることを目的とした。また、ヒト薬物代謝酵素遺伝子での一塩基置換による多型(SNPs)が薬物動態パラメーターに与える影響を評価することを目的として、網羅的に薬物代謝酵素の遺伝子におけるSNPsと薬物動態パラメータに関する文献情報を収集した。
研究方法
本研究における臨床研究はすべて各研究者が所属する研究機関に設置されている研究倫理委員会によって実施の許可を得ている。また、実験実施にあたっては被験者に十分な実験内容に関する説明をした後、文書による自発的な同意を得た。
結果と考察
(1) CYP3A5遺伝子の一塩基置換による多型に関する情報を統合したデータベースを作成し、遺伝子多型が薬物動態に与える影響について調査したところ、欠損型のCYP3A5*3の発現頻度に人種差があることがわかった。また、現時点で報告されている情報からは、CYP3A5遺伝子多型の薬物動態パラメーターに与える影響を予測することは困難であった。
(2)進行・再発非小細胞肺がんを対象としてゲフィチニブとドセタキセルの併用を行い、両薬剤併用による最大耐量,推奨用量,安全性,薬物動態,薬剤間相互作用,有効性,CYP3A4活性の変化などを検討する併用第Ⅰ相試験を実施中である。
結論
薬物動態の個人差に影響をあたえる因子を解析する上で、がん患者等の特殊な背景をもった被験者集団を用いる臨床薬物動態試験が有用であると考えられた。また、CYP3A5遺伝子のSNPsに関する文献情報は数多く度見つかったが、薬物動態パラメーターとの関連を記述した論文は極めて乏しいことがわかった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200500944B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品適正使用のためのヒト薬物動態評価法の開発と応用
課題番号
H16-創薬-042
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
頭金 正博(国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 昇(国立がんセンター中央病院)
  • 川合 良成(ノバルティスファーマ)
  • 関口 金雄(ファイザー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品を適正に使用するためには、個別の患者での薬物動態に影響を与える因子を正確に評価することが必要になる。そこで、本研究課題においては、特定の患者集団等での薬物動態特性と背景因子との関係を調べることを目的とした。また、ヒト薬物代謝酵素遺伝子での一塩基置換による多型(SNPs)が薬物動態パラメーターに与える影響を評価することを目的として、網羅的に薬物代謝酵素の遺伝子におけるSNPsと薬物動態パラメータに関する文献情報を収集した。
研究方法
本研究における臨床研究はすべて各研究者が所属する研究機関に設置されている研究倫理委員会によって実施の許可を得ている。また、実験実施にあたっては被験者に十分な実験内容に関する説明をした後、文書による自発的な同意を得た。
結果と考察
(1)CYP2C9の遺伝子多型が抗糖尿病薬グリメピリドの薬物動態に与える影響について検討した。2型糖尿病と診断されグリメピリドの処方を受けている患者のうち、CYP2C9*1/*3型被験者およびCYP2C9*1/*1型被験者での単回投与後の血漿中グルメピリド濃度を測定した。その結果、CYP2C9*1/*3型被験者のAUCはCYP2C9*1/*1型被験者の2から3倍程度に増加していた。
(2)進行・再発非小細胞肺がんを対象としてゲフィチニブとドセタキセルの併用を行い、両薬剤併用による最大耐量,推奨用量,安全性,薬物動態,薬剤間相互作用,有効性,CYP3A4活性の変化などを検討する併用第Ⅰ相試験を実施中である。
(3)すでに発表されている薬物代謝関連酵素に関する遺伝子のSNPsと薬物動態パラメーターに関する文献情報を網羅的に収集しデータベースを作成した。その過程で、多くの薬物の代謝過程に関与しているとされるCYP3A4およびCYP3A5についてはすでに多数のSNPsが明らかにされているのにも関わらず、その薬物動態学的な意義付けがほとんどできておらず、存在するデータも極めて乏しいのが現状であることがわかった。
結論
薬物動態の個人差に影響をあたえる因子を解析する上で特殊な背景因子をもった被験者集団を用いる臨床薬物動態試験が有用であると考えられた。また、薬物代謝酵素のCYP3A4およびCYP3A5のSNPsに関する文献情報は数多く度見つかったが、薬物動態パラメーターとの関連を記述した論文は極めて乏しいことがわかった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500944C

成果

専門的・学術的観点からの成果
糖尿病患者およびがん患者での臨床薬物動態試験を実施し、被験者の背景因子と薬物動態における個人差との関係を検討した。また、薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する文献情報を網羅的に調べたところ、多数の遺伝子多型情報が公表されているにもかかわらず、薬物動態との関連を明示する情報は限られていることがわかった。
臨床的観点からの成果
薬物代謝酵素CYP2C9遺伝子の多型であるCYP2C9*3を保有している糖尿病患者では、抗糖尿病薬グリメピリドの血糖低下作用が、野生型CYP2C9遺伝子を保有している患者に比べて増強される傾向にあることがわかった。
ガイドライン等の開発
「医薬品の臨床試験におけるファーマコゲノミクスの利用指針」に関連している。
その他行政的観点からの成果
薬物代謝酵素遺伝子の多型解析が医薬品適正使用にとって有用であることを示した。
その他のインパクト
学会発表後に研究対象薬剤を臨床使用している臨床医、薬剤師から適正使用についての問い合わせを受けた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
2件
13th North America ISSX meeting 2005
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Suzuki K, Kaniwa N, Tohkin M. et al.
Effect of CYP2C9 genetic polymorphisms on the efficacy and pharmacokinetics of glimepiride in subjects with type 2 diabetes
Diabets Res. Clin. Pract.  (2006)
原著論文2
Maekawa K, Fukushima-Uesakaa H, Tohkin M et al.
Four novel defective alleles and comprehensive haplotype analysis of CYP2C9 in Japanese
Pharmacogenetics and Genomics  (2006)
原著論文3
Kaniwa N, Kurose K,Tohkin M et al.
Racial variability in haplotype frequencies of ugt1a1 and glucuronidation activity of a novel single nucleotide polymorphism 686c> T (p229l) found in an african-american
Drug Metab Dispos. , 33 (3) , 458-465  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-