医薬品等の有効性・安全性を保証するための分析・解析技術の評価と標準化に関する研究

文献情報

文献番号
200500943A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の有効性・安全性を保証するための分析・解析技術の評価と標準化に関する研究
課題番号
H16-創薬-041
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
林 譲(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 楠文代(東京薬科大学薬学部)
  • 片倉啓雄(大阪大学大学院工学研究科)
  • 藤本茂(日本エンバイロケミカルズ)
  • 奥村弘一(ホリバ・バイオテクノロジー)
  • 福泉敦尚(北斗電工)
  • 植田泰輔(林純薬工業)
  • 北原進一(明治製菓)
  • 北島昭人(第一ラジオアイソトープ研究所)
  • 矢澤久雄(ヤザワ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬局方に記載されている分析法バリデーションは、定量分析法の統計的信頼性を把握するための国際ルールであり、ICH、ISOなどの国際機関の提案に基づいている.分析法の精度または不確かさは、標準偏差(SD)または相対標準偏差(RSD)で表される.本研究の目的は、不確かさを定量的に予測する一般的方法論を作り、その有用性を実験から証明することにある.実サンプルのくり返し測定は行わない代わりに、分析法の不確かさをその因果関係から求める.
研究方法
電気化学分析、ラジオアイソトープHPLC、粉末X回折においては、FUMI理論に基づいてノイズを解析することにより測定値のSDとRSDを求める.FUMIは、Function of Mutual Informationの略である.免疫化学測定法では、誤差の伝播法則により、測定値の精度を求める.
結果と考察
電気化学分析法における精度および感度を改善するためには、バックグラウンドノイズの低減について検討を行う必要がある.従来、このような検討は、経験に基づき試行錯誤で行われているが、この方法は能率が悪く、科学的根拠も乏しい.FUMI理論は、電極表面の状態を評価する指標として有用であることが実験から示された.
核医学検査に用いられる多くの放射性同位元素は、健康への影響を最小限に押さえるために、半減期が短い核種が使われている.このため、測定時間中での減衰の度合いが大きいと、くり返し測定により分析値の精度を求めることが不可能となる.FUMI理論を用いれば、ラジオアイソトープHPLCの測定精度を知ることが可能であることが分かった.
経口用製剤の開発においては、結晶性薬物の溶解性向上を図る手段として、非晶質化が有効であるとされている.本研究では、非晶質の定量に用いられる粉末X線回折測定の精度・検出限界を定量的かつ簡便に求める方法をFUMI理論を利用して開発した.
 ELISA(enzyme linked immunosorbent assay)法は酵素反応を検出に用いる酵素免疫測定法であり、広く使われている.本研究では、ELISA法において、なるべく少ない測定または1回の測定から、正しい分析精度を推定する方法を開発した.
結論
分析法の誤差の因果関係から、分析法の不確かさを(精度)を求める方法論を提案し、異なった分析法に適用した.取り上げた分析法は、電気化学分析、ラジオアイソトープHPLC、粉末X回折、ELISA法である.実験結果から、これらの分析法の精度・検出限界は、実サンプルのくり返し測定なしに、正確かつ簡便に知ることができると結論できた.

公開日・更新日

公開日
2006-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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