患者個別化薬物治療のための遺伝子タイピング法及びメタボロミクス的手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500942A
報告書区分
総括
研究課題名
患者個別化薬物治療のための遺伝子タイピング法及びメタボロミクス的手法の開発に関する研究
課題番号
H16-創薬-039
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所機能生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 宝田 裕(東洋紡績㈱)
  • 森 篤雄(第一化学薬品㈱)
  • 丹羽 卓朗(三菱ウェルファーマ㈱)
  • 岩崎 一秀(ファイザー㈱)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の有効性及び副作用発現に影響を及ぼす薬物代謝酵素等の遺伝子多型を機能解析により同定し、これらのタイピング系を開発する。また、環境要因により変化する代謝活性をバイオマーカーの変化から予測する方法も開発し、両法の併用により患者毎の薬物代謝活性・動態の予測法を確立する。
研究方法
異型cDNA発現系を用いて野生型及び変異型蛋白質を発現させ、活性測定を行った。また、UGT1A3, UGT1A6, UGT1A7, UGT1A8, UGT1A9, UGT1A10及びABCG2の多型につきパイロシーケンシング法によるタイピング系の開発を行った。CYP2C9及びCYP2C19の多型については、改良型アリル特異的プライマー-PCR法の評価を行った。また環境要因により発現が変化するCYP3Aの活性指標を探索するため、ラットを用い、誘導剤PCNによる肝臓中のCYP3A1 mRNA量変化を測定すると共に、尿中の生体内代謝物のメタボロミクス解析を行った。
結果と考察
CYP1A2の遺伝子多型125C>G (P42R)、1130G>A (R377Q)、及び1367G>A (R456H)は、ヘム酵素蛋白質レベルを大幅に低下させることにより、酵素活性の大幅な低下をもたらした。またGRの420G>T (K140N)多型は、異型受容体の蛋白発現量を約86%、転写活性を約33%低下させた。CYP3A4の野生型と*16(T185S)酵素を酵母及び昆虫細胞で発現したところ、昆虫細胞系で発現した酵素の活性が高く、今後の解析に有用と考えられた。また、CYP3A4*16のミダゾラム代謝活性が野生型に比して低下することを確認した。
UGT1Asの21多型及びABCG2の4多型につきタイピング系を開発した。CYP2Csの3多型につき、SELMAP-PCR法の評価を行った。いずれの場合も、タイピング結果はシーケンシングの結果と完全に一致した。
バイオマーカー探索では、PCN処理群で肝臓中のCYP3A1レベルの大幅な上昇が見られた。またPCN処理群及び対照群の尿のクロマトグラムを基に、約4000のピークをマーカーとして選択し、主成分分析を行い、両群を明確に分離することができた。
結論
3種の遺伝子の5多型につき機能低下を明らかにした。9種の遺伝子の28多型につき、タイピング系の開発・評価を行った。PCN処理の有無を、ラット尿のメタボロミクス解析により識別することができた。

公開日・更新日

公開日
2006-03-31
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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