ヒト肝細胞で置換された肝臓を持つマウスの医薬品開発への利用―非拘束マウスの胆汁採取分析技術の確立―

文献情報

文献番号
200500941A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト肝細胞で置換された肝臓を持つマウスの医薬品開発への利用―非拘束マウスの胆汁採取分析技術の確立―
課題番号
H16-創薬-037
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉里 勝利(広島大学大学院理学研究科 生物科学専攻・動物科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 堀江 透(㈱フェニックスバイオ)
  • 小林 英司(自治医科大学 分子病態治療研究センター 臓器置換研究部)
  • 絵野沢 伸(国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品開発における動物実験ではヒトの薬物動態の予測は難しい。我々が開発したヒト肝細胞キメラマウスは、マウス肝臓の70%以上がヒト肝細胞で置換されている。置換されたヒト肝細胞は、薬物代謝に関わるヒト型酵素系をドナー肝細胞と同様のレベルで発現している。キメラマウスにおける医薬候補品の胆汁排泄動態や胆汁中代謝物を同定出来れば、ヒトにおける薬物動態の予測が可能となる。本研究は、キメラマウスを用いた非拘束胆汁排泄試験モデルを確立することを目的とする。
研究方法
本年度は非拘束状態で継続的にキメラマウスから胆汁を回収することを目標にマウスに対する胆汁排泄施術の改良及び非拘束胆汁回収装置の改良を行った。また、キメラマウスから回収した胆汁をHPLCで分析するため、胆汁中の親化合物及び代謝物の抽出方法の検討を行った。さらにキメラマウスの胆汁排泄動態を調べるため、キメラマウスに放射能ラベル化合物を投与し、HPLCで胆汁中の親化合物及び代謝物の分析を行った。
結果と考察
マウスからの胆汁回収をより確実にするため、胆嚢カニュレーション法及び非拘束胆汁回収装置の改良を行った。その結果、キメラマウスにおいても継続的に胆汁回収ができた。しかし、胆汁に含まれるタンパク質やマウスの動きによって、回収量に変動がみられたので、今後このような現象を解消する改良を行う。回収したマウス胆汁中の親化合物及び代謝物を分析するため、胆汁にS-warfarinとその代謝体を混合後、S-warfarinとその代謝物を抽出する方法を検討した。液-液抽出法により、S-warfarin及び代謝物ともに80%程度回収することができた。S-warfarinを投与した低置換キメラマウスから回収した胆汁をこの方法で抽出し、HPLCで分析するとS-warfarinとその代謝物を検出できた。キメラマウスの胆汁排泄がヒトでの動態を反映していることを確かめるため、3H-S-warfarinを投与したキメラマウスの胆汁をHPLCで分析した。その結果、ヒトと同様に7-水酸化体が主要代謝物として生成した。今後は他の化合物についても投与試験を行いキメラマウスの非拘束型胆汁排泄モデルが医薬候補化合物の評価に利用できることを証明する。
結論
非拘束胆汁排泄モデルの改良により、継続的な胆汁回収が可能となった。また、キメラマウスから回収した胆汁中の親化合物及び代謝物の抽出方法を確立した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-07
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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