ハイスループット・ヒト型遺伝毒性試験系の構築

文献情報

文献番号
200500940A
報告書区分
総括
研究課題名
ハイスループット・ヒト型遺伝毒性試験系の構築
課題番号
H16-創薬-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
能美 健彦(国立医薬品食品衛生研究所変異遺伝部)
研究分担者(所属機関)
  • 鎌滝哲也(北海道大学大学院薬学研究科)
  • 林宏行(明治製菓株式会社医薬開発部門動態安全性研究所)
  • 渡部一人(中外製薬株式会社富士御殿場研究所安全性研究部)
  • 原 巧(食品薬品安全センター秦野研究所)
  • 金谷一司(株式会社JIMRO)
  • 小田美光(大阪府立公衆衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では、医薬品候補化合物の遺伝毒性、胎児毒性を迅速に同定・評価するハイ・スループット試験系を構築するため(1)ヒト遺伝子を導入したin vitro 遺伝毒性試験系(2)in vivo トランスジェニック(TG)ラット、TGマウス試験系を樹立することを目的としている。
研究方法
umu試験の指標菌株にヒトCYP1A2を発現させた。大腸菌DNA polymerase IV (Pol IV) を発現するサルモネラ株YG5161を用いてフラクチュエーションAmes試験(FAT)を行った。大腸菌Pol IV のホモローグであるヒトDNA polymerase kappa(Pol K)を用いてベンツピレン付加体の乗り越えDNA合成を行った。Phenacetinをgpt deltaラットに長期混餌投与しgpt遺伝子の変異部位を同定した。gpt deltaラットに短期発がん物質検出用Hras128ラットを交配させた。ヒトCYP3A7存在下でマウス胎仔全培養を行い、thalidomide催奇形性を検討した。
結果と考察
ヒトCYP1A2を発現するサルモネラ株は、7種類の芳香族アミンに対しS9 mixによる代謝活性化なしにumu試験で陽性結果を示した。FATを用いて多環芳香族炭化水素の遺伝毒性を検出する際には、YG5161がTA98よりも高感度であった。処理濃度を上げることにより、FATとAmes試験の相関性が向上した。Pol Kはベンツピレン付加体を乗り越えてDNA合成を続けた。Pol Kの遺伝子をTGマウスgpt delta肺由来GDL1細胞に導入した。PhenacetinはG:C to A:T変異を誘発した。ヒトHras遺伝子の導入はgpt遺伝子突然変異の感受性には影響を与えなかった。Thalidomideの催奇形性には、ヒト胎児特異的に発現する CYP3A7 が関与する可能性を示唆した。
結論
創薬の初期段階において迅速に遺伝毒性を検索するヒト遺伝子を発現するハイ・スループット微生物試験菌株を確立し、その評価を行った。また創薬の後期段階において有用な、TGラットおよびTGマウス細胞試験系を樹立した。Thalidomideが誘発する催奇形性にはヒト胎児特異的に発現するCYP3A7が関与することを示唆した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-