食中毒細菌の新規迅速検査法の開発とその評価法に関する研究

文献情報

文献番号
200500939A
報告書区分
総括
研究課題名
食中毒細菌の新規迅速検査法の開発とその評価法に関する研究
課題番号
H16-創薬-035
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 池戸 正成(栄研化学株式会社)
  • 田中 啓子(株式会社日清製粉グループ本社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品からの食中毒細菌の迅速検出を目的に, LAMP法など遺伝子増幅法を含めた検出法を検討する。今年度はLAMP法における特異性確認方法の確立、競合細菌叢の解析および食品の一般生菌数の迅速測定法を検討した
研究方法
1.腸管出血性大腸菌のベロ毒素検出におけるLAMP反応の特異性の確認: VT1とVT2のLAMP産物を制限酵素Hind ⅢとEcoT221で処理し断片のシークエンス解析を行った。
2.食品における細菌叢の解析: 市販されているサラダやカットフルーツなどを対象とし16S rDNAシークエンス同定を行い細菌叢の解析を行った。
3.Real-Time PCR法による一般生菌数測定法の検討: 総菜の代表菌種について16S rDNA上のユニバーサルプライマーを設計し、real-time PCR法を検討した。
結果と考察
1.腸管出血性大腸菌のベロ毒素検出におけるLAMP反応の特異性の確認: VT1産生株ではHindⅢで、VT2産生株ではEcoT221で消化しおのおの特異的な大きさの断片が得られ、シーケンス解析した結果、想定される配列が確認されLAMP反応が目的とした領域を特異的に増幅していることが確認できた。
2.食品における細菌叢の解析:サラダやカットフルーツにおける生菌数は103から108であった。16S rDNAシークエンス決定による細菌種の同定によって、検討した5種類の検体から合計13種類が同定された。主にAcinetobacter, Rahnella, Pantoea 属菌等であった。
3.Real-Time PCR法による一般生菌数測定法の検討: 惣菜類から一般生菌数として検出される細菌叢であるLeuconostoc属、Pseudomonas属、Pantoea属、Corynebacterium属のDNAを鋳型に、選定したプライマーセットを用いReal-Time PCRを実施したところ、各種細菌数と測定結果は相関した。
結論
LAMP反応の特異性の確認法としてLAMP産物の制限酵素消化パターンの解析およびその配列の確認が有用と思われた。また、サラダやカットフルーツの主な細菌叢はAcinetobacter, Rahnella, Pantoea 属菌等であり、これら競合・生存する菌種を抑制する事が迅速検出法の感度を補うと考えられた。さらに、惣菜類から検出される代表的な細菌について16s-rDNA領域を対象にReal-Time PCRを実施したところ、それぞれの細菌に対し定量可能であった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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