DNAマイクロアレイによる多発性硬化症の迅速診断法の樹立に関する研究

文献情報

文献番号
200500938A
報告書区分
総括
研究課題名
DNAマイクロアレイによる多発性硬化症の迅速診断法の樹立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 準一(国立精神・神経センター神経研究所・免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所・疾病研究第六部)
  • 齋藤 俊郎((株)日立製作所ライフサイエンス推進事業部遺伝子診断事業推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多発性硬化症(multiple sclerosis; MS)は中枢神経系白質に炎症性脱髄巣が多発し、再発を繰り返して進行する難病である。遷延化すると軸索傷害を来して不可逆的な機能障害を残す。MSは通常の血液検査で異常を認めず、診断は臨床症状・経過・神経学的所見・脳脊髄液所見・MRI画像に基づいてなされるが、鑑別疾患が多く容易ではない。特にヘルペスウイルス性脊髄炎・HTLV-I関連性脊髄症・神経Behcet・Sjoren症候群・脳血管炎・悪性リンパ腫・多発性脳梗塞はMSと誤診され易い。近年インターフェロンベータ(IFNB)のMS再発抑制効果が立証された。MS前駆病態clinically isolated syndrome (CIS)では、早期治療を開始するとMSへの移行を抑制可能であり、MS高精度診断法樹立が望まれる。MSでは自己抗原反応性活性化CD4+ Th1細胞が、血液脳関門を通過し中枢神経系組織内に浸潤し、マクロファージ・ミクログリアを活性化して脱髄が惹起される。従って自己反応性活性化T細胞を含む末梢血リンパ球の遺伝子発現プロフィール解析が診断に役立つ。近年ヒト全遺伝子塩基配列が解明され、DNAマイクロアレイを用いて個々の細胞における数万遺伝子(ヒト全遺伝子約30,000)の発現情報を包括的に解析可能になった。このような網羅的発現解析により、MSの複雑な免疫病態が次々解明された。最近我々はMS患者末梢血リンパ球におけるIFN応答遺伝子(IFNB-responsive genes; IRG)を網羅的に同定した。本研究(予定期間2年)はDNAマイクロアレイによるMS迅速診断法確立を主目的とする。
研究方法
平成17年度(初年度)は国立精神・神経センター武蔵病院のMS, non-MS対照神経疾患, 健常者(Nc)の末梢血T細胞RNA(100検体)を精製し、69検体をDNAマイクロアレイで解析した。
結果と考察
末梢血T細胞遺伝子発現パターンによりactive MSとNcは明瞭に識別されたが、完全寛解したstable MSとNc間にはoverlapを認めた。現在MS疾患特異的遺伝子群(MS-specific genes; MSG)を同定するため、データセットを階層的クラスター解析(hierarchical clustering analysis; HCA)とサポートベクターマシン(support vector machine; SVM)法により包括的に解析中である。
結論
今後症例数を増加してMSGを同定し、その情報に基づいてMS迅速診断法を樹立する予定である。

公開日・更新日

公開日
2006-03-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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