エンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明と医療への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200500935A
報告書区分
総括
研究課題名
エンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明と医療への応用に関する研究
課題番号
H16-創薬-030
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
西島 正弘(国立感染症研究所細胞化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川崎清史(国立感染症研究所細胞化学部)
  • 明田川純(生化学工業株式会社)
  • 熊沢義雄(北里大学理学部)
  • 小林芳郎(東邦大学理学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来のリムルステスト法の問題点を補完する、新しいエンドトキシン検出法を作出するため免疫担当細胞(マクロファージ等)によるエンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明とそのエンドトキシン検出法への応用に関する研究を行う。
研究方法
ヒトTLR4とヒトMD-2を強制発現しているBa/F3細胞株を精製したリピドAで刺激し、転写因子NF-Bの活性化をレポーター遺伝子(ルシフェラーゼ)の活性化で測定する(レポーターアッセイ)。
結果と考察
(1)サルモネラ菌のリピドAは感染宿主への適応によって様々な修飾を受ける。このうち一部の修飾は、感染細菌にとって、宿主Toll-like receptor 4による認識から逃れやすくなる点で細菌にとって有利に働くことが分かっている。抗菌ペプチドに対する耐性を付与することが知られているホスホエタノールアミン修飾がToll-like receptor 4認識に与える影響を検討したところ大きな影響を与えないことが分かった。リピドA修飾の多様性は宿主自然免疫応答に対する機能的役割分担の結果であると考えられた。
(2)ケルセチン、ルテオリンのLPS刺激抑制作用機序を検討した。両フラボノイドはLPS刺激によるIBの消化、Aktのリン酸化、p38のリン酸化を抑制したがPMA刺激によるNFB活性化は抑制しなかった。またLPS刺激によるラフト集積を抑制した。
(3)アポトーシス細胞の貪食に伴って産生されるIL-6は樹状細胞を未熟な状態にとどめるのに部分的に関わることにより、自己抗原に対する応答を未然に防いでいる。
結論
(1) リピドAホスホエタノールアミン修飾はToll-like receptor 4認識には大きな影響を与えない
(2) ケルセチンおよびルテオリンのLPS刺激抑制作用の機序について検討した結果、両フラボノイドはLPSの刺激は抑制したが、直接PKCを活性化するPMAの刺激は抑制しなかった。またLPS刺激によるラフト集積を抑制しただけでなく、抗CD3抗体や抗IgM抗体で受容体を架橋したラフト集積も抑制した。これらのことから、ケルセチンおよびルテオリンは、ラフトの集積を抑制することで、下流へのシグナル伝達を抑え、LPSの刺激を抑制することが明らかとなった。
(3) IL-6KOマウス由来未熟樹状細胞を用いて、未熟樹状細胞の分化成熟には、やはりIL-6が重要な役割を担っていることが確認された。しかしin vivoでは、抗体産生にもIL-6は重要であるため、予想されたIL-6KOマウスにおける自己抗体産生は認められなかった。

公開日・更新日

公開日
2006-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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