創薬への応用を目標としたB細胞の分化・増殖・細胞死の制御機構解明に関する研究

文献情報

文献番号
200500934A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬への応用を目標としたB細胞の分化・増殖・細胞死の制御機構解明に関する研究
課題番号
H16-創薬-028
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
上出 利光(北海道大学遺伝子病制御研究所病因研究部門 分子免疫分野)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 忠昭(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター バイオリソース部門)
  • 清河 信敬(国立成育医療センター研究所 発生・分化研究部 形態発生研究室 細胞生物学)
  • 設楽 研也(協和発酵工業株式会社 東京研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
B細胞のシグナル伝達機構をBAFFおよびラフトに注目して解析を行い、B細胞の分化・増殖異常による疾患の新たな治療法の開発に応用することを目的とした。
研究方法
DMWDおよびUSP12はRT-PCR法によりクローニングを行い、様々なシグナル伝達分子に対する特異的な抗体を用いて解析を行った。
B前駆細胞の分化誘導には骨髄CD34陽性細胞を用い、フローサイトメトリーで解析した。バイオフラボノイドによるアポトーシス誘導効果はミトコンドリア膜電位および活性化カスパーゼの検出により解析を行った。
結果と考察
BAFF-Rと会合する分子として発見したDMWDは脱ユビキチン化酵素USP12の安定化に働き、TRAF3の発現によるNIKの分解促進を抑制すること、USP12と共同してNIKのタンパク質量上昇に働くことが明らかとなった。
DMWDと会合するキナーゼとしてPyk2を発見し、DMWDによってPyk2が活性化され、Pyk2によりPKCδがリン酸化されることが示された。
DMWDのsiRNAを発現するBJAB細胞は細胞増殖能の低下とコントロールの細胞で認められる恒常的なNF-κB2の活性化、およびPKCδのリン酸化が抑制されていることが明らかとなった。
これらのことからDMWDがNIKの安定化を通じてNF-kB2の活性化に関与し、またPyk2の活性化を通じてPKCδのリン酸化亢進に関与すると考えられた。
ヒト骨髄CD34陽性細胞からB前駆細胞を分化誘導する培養条件について検討を行い、重要な因子を明らかにした。また誘導された細胞がラフト解析に有用であることが示唆された。
種々のバイオフラボノイドがB前駆細胞株にアポトーシスを誘導することが明らかになった。
樹立された抗B前駆細胞ラフト抗体はB前駆細胞の特定の集団のみを認識することが明らかとなり、B前駆細胞性リンパ芽球性白血病への応用が考えられた。
結論
DMWDは脱ユビキチン化酵素USP12の安定化およびPyk2の活性化を通じて、BAFF-Rのシグナル伝達経路において重要なNF-kB2の活性化、およびPKCδの制御に働く可能性が示された。
ラフト解析に用いる正常B前駆細胞分化誘導の培養条件を検討した。またラフト刺激によって発現が誘導される遺伝子群の候補を特定した。バイオフラボノイドに白血病に対するアポトーシス誘導効果があることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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