血管におけるレクチンを介する生体防御システムの解明と創薬への応用

文献情報

文献番号
200500927A
報告書区分
総括
研究課題名
血管におけるレクチンを介する生体防御システムの解明と創薬への応用
課題番号
H16-創薬-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
若宮 伸隆(旭川医科大学医学部微生物学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 本多 三男(国立感染症研究所 エイズ第一グループ)
  • 岸 雄一郎(扶桑薬品工業株式会社 研究開発センター)
  • 堤 明人(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 板部 洋之(昭和大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血管は現代の高齢化社会において大きな問題となっている虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病などの生活習慣病において最も重要な臓器である。本研究の目的は、血管におけるコレクチンの生体防御に対する役割を解明し、創薬への基礎的知見を得ることである。
研究方法
MBL研究
1.MBL高発現株の発現誘導とシステム構築, 2.MBLによるSCIDマウスのHIV感染抑制実験とそのmonitoring, 3.HIVの in vitro MBL感染阻止実験, 4.SLE患者と慢性歯周病患者のMBL遺伝子解析
CL-P1研究
1.CL-P1発現調節解析, 2.CL-P1分子機能ドメイン解析, 3.内皮細胞貪食におけるCL-P1の役割解析, 4.ヒト組織のCL-P1発現解析, 5.個体レベルでのCL-P1発現意義の解析, 6.マウスOxLDL測定系, 7.OxLDLの質量分析による解析
結果と考察
MBL研究では、若宮、本多、岸らで、MBLの抗HIV効果を検討するためにSCIDマウスの感染抑制実験が進められ、一定の効果を認めた。また並行して、細胞レベルで、クレイドを越えた複数のsubtype株やAZT耐性株に対しての検討を行い、MBLの感染抑制効果を認めた。また、基盤研究では、MBL発現システムの改良と動物でのmonitoringを行い、良好な結果を得た。
CL-P1研究では、細胞レベルでCL-P1分子が発現誘導の解析で、低酸素やある種のサイトカインでは誘導がおこること、機能ドメイン欠損株の樹立による解析、SiRNA実験により内皮細胞における貪食における役割を明らかにした。個体レベルでの研究では、ヒト組織での血管におけるCL-P1発現が広範囲の組織で確認された。硬骨魚類に属するゼブラフィッシュでは、血管部分にCL-P1発現を証明し、魚類でのスカベンジャー受容体を初めて同定した。遺伝子ノックダウン実験では形態形成不全を認め、スカベンジャー受容体やコレクチンが、生体の初期形態形成に関わることが明らかになった。一方、板部は、マウスからOxLDL を作成し特異抗体を得て、マウスOxLDL測定系を樹立し、さらに質量分析を用いてOxLDLの酸化変性の解析を進めた。堤は、SLEや慢性歯周病患者におけるMBL遺伝子解析でMBL欠損と有病率との相関を明らかにした。
結論
総括としては、MBL、CL-P1ともに、動物やヒトでの個体レベルの研究が飛躍的に進展し、大きな研究成果が得られた2年度であった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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