脂質代謝・機能の解明とその抗微生物薬開発への応用

文献情報

文献番号
200500925A
報告書区分
総括
研究課題名
脂質代謝・機能の解明とその抗微生物薬開発への応用
課題番号
H16-創薬-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
花田 賢太郎(国立感染症研究所 細胞化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西島 正弘(国立感染症研究所 細胞化学部)
  • 齊藤 恭子(国立感染症研究所 細胞化学部)
  • 久下 理(九州大学大学院 理学研究院)
  • 星子 繁(明治製菓(株)創薬研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,830,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
膜脂質の生合成と機能発現機構に関する研究を通じて、病原微生物感染成立における宿主膜脂質の役割を解明する。また、微生物の脂質代謝を特異的に阻害する物質を探索して、新規抗微生物薬開発のためのシード化合物を得る。
研究方法
蛋白質間相互作用は、共免疫実験法で解析した。過剰発現がスフィンゴミエリン(SM)結合性細胞溶解素ライセニンへの耐性を細胞に賦与する遺伝子の探索では、レトロウイルスベクターを用いた高頻度安定遺伝子導入法を用いた。イノシトールホスホセラミド合成酵素(IPCS)阻害剤の半自動探索のために、Candida albicansミクロソーム膜画分を酵素源、放射性短鎖セラミドを基質とした酵素反応を384穴プレート内で行えるように改良を施した。
結果と考察
哺乳動物細胞における小胞体-ゴルジ体間セラミド選別輸送を担う蛋白質CERT上の7アミノ酸からなるペプチドモチーフ(FFATモチーフ)が小胞体膜蛋白質VAPとの相互作用およびおよび細胞内セラミド選別輸送に重要であることを示した。さらに、過剰発現がライセニン耐性を細胞に賦与する遺伝子の探索から、SM代謝に影響を及ぼす蛋白質リン酸化酵素を見出した。一方、増殖が温度感受性のリン脂質代謝異常出芽酵母変異株を昨年度までに19株取得し、本年度はそれらの相補ゲノム断片をクローニングした。イノシトールホスホセラミド関連脂質は、真菌類などには存在するが哺乳動物細胞には存在しない脂質群であり、IPCSは真菌の生育に必須の遺伝子産物である。IPCS阻害剤の半自動探索を384穴プレート内で行うための改良を施して探索効率を高め、その結果、20,000サンプルの探索から複数の既知物質がヒット化合物として選択された。
結論
CERT上のFFATモチーフはVAPとの相互作用および細胞内セラミド選別輸送に重要であることが明らかとなった。SM代謝に影響を及ぼす蛋白質リン酸化酵素を見出した。IPCSを標的とした新規抗真菌剤探索系を改良して探索効率を高め、複数のヒット化合物を選択した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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