高密度CGHアレイを用いた新規白血病・リンパ腫治療薬の標的分子の探索

文献情報

文献番号
200500924A
報告書区分
総括
研究課題名
高密度CGHアレイを用いた新規白血病・リンパ腫治療薬の標的分子の探索
課題番号
H16-創薬-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小川 誠司(東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 幸夫(国立がんセンター中央病院)
  • 杉田 一憲(株式会社ラボ)
  • 三谷 絹子(獨協医科大学)
  • 竹内 賢吾(財団法人癌研究会癌研究所)
  • 千葉 滋(東京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
造血器腫瘍の治療成績の向上には、腫瘍に特異的な原因分子を同定し、これに特異的に作用する薬剤を開発することにより、腫瘍特異的で副作用の少ない治療薬の開発を進めることが有効である。本研究では、アレイCGH法の原理を応用した高密度SNPアレイによる高精度ゲノムコピー数解析システム(CNAG)を用いて、造血器腫瘍におけるゲノムコピー数異常およびアレル不均衡のゲノムワイドな解析を中心として、造血器腫瘍のに対する分子標的薬開発の標的となる遺伝子/分子の網羅的探索を行う。
研究方法
種々の病型を含む983例の造血器腫瘍検体について、Affymetrix GeneChip 100K/500Kアレイおよび平成17年度の本研究事業で開発したCNAGプログラムを用いてゲノムコピー数の網羅的な解析を行った。また、自己正常対照DNAが得られる試料に関しては、SNP特異的プローブの特性を用いてアレル特異的なゲノムコピー数の解析を行い、造血器腫瘍で生じているアレル不均衡およびLOHのゲノムワイドな検出を行った。
結果と考察
Affymetrix® GeneChipとCNAG2.0を用いた計983造血器腫瘍に関する網羅的なゲノムコピー数/アレル不均衡/LOHの解析により、これらの腫瘍でゲノムコピー数の異常を示す領域が多数同定された。アレイの高い解像度を利用して、500Kb以下のサイズの共通する異常が多数同定され、領域の多くについて、FISH法などによる煩雑な追加解析を行うことなく、標的遺伝子の候補をユニークに同定することが可能であった。これらの候補遺伝子は、分子標的薬の有望な標的と考えられる。SNP特異的プローブの特性を利用したアレル不均衡/LOHの解析からは、リンパ腫を中心として、ゲノムコピー数変化を伴わないアレルのホモ接合(UPD)が高頻度に検出された。UPDは異なる腫瘍で特異的な集積の分布をしめしたが、これらの領域にコードされる遺伝子の解析から、新たな分子標的を同定しうる可能性が示唆された。
結論
Affymetrix GeneChipと我々が独自に開発したCNAGを用いて961例の造血器腫瘍検体を解析することにより、造血器腫瘍におけるコピー数異常/アレル不均衡(ホモ接合)に関するゲノムマップを構築した。さらに、異常の共通する領域から、造血器腫瘍における分子標的の候補を多数同定した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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