蛋白立体構造異常を原因とするコンフォメーション病に対する病態解明と創薬探索システムの確立

文献情報

文献番号
200500923A
報告書区分
総括
研究課題名
蛋白立体構造異常を原因とするコンフォメーション病に対する病態解明と創薬探索システムの確立
課題番号
H16-創薬-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
桃井 隆(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第5部)
研究分担者(所属機関)
  • 礒合 敦(旭硝子株式会社 ASPEX事業推進部開発センター)
  • 上田 正次(株式会社ワイエス研究所)
  • 日比野 利彦(資生堂ライフサイエンス研究所)
  • 徳永文稔(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,555,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はコンフォメーション病の原因である立体構造異常蛋白が示す蛋白分解酵素に対する抵抗性の仕組みを解析し、こうした異常蛋白の蓄積凝集が誘導するコンフォメーション病の病態の解明、および酵母、細胞、マウスの病態モデルを作製し、創薬探索システムを確立し、異常蛋白分解を促進する化合物の探索を目的としている。本研究はコンフォメーション病の治療や予防システムの確立において必要であると考える。

研究方法
1)小胞体品質管理機構を司る新規分子の探索と解析
2)ポリグルタミン蛋白凝集などの分解にオートファジーが関与することが明らかと
  なり、その分子機構について解析する。
3)トランスロコンの構成成分であるSec61betaを発現するマウスを作製し、神経
  変性疾患を含むコンフォメーション病の病院と小胞体の異常蛋白排出分解能力
  との関係を調べる。
4)疾患と小胞体関連分解系(ERAD)との関係を明らかにする。
5)プロテアゾームの活性化因子が分子シャペロンとして蛋白発現を調節している 
  ことかどうかをマイクロアレイなどの手法を用いて調べる。
結果と考察
1)ポリグルタミン凝集による小胞体ストレスを抑制する化合物の一つとしてオートファジー形成を促進するラパマイシン誘導体が見出された。ラパマイシンはeIF2aのリン酸化を促進することで、ポリグルタミン凝集を抑制することが明らかになった。
2)本年度、ポリグルタミン凝集は小胞体ストレスシグナルの一つであるPERK-eIF2aリン酸化を介して、オートファジー形成(LC3IからIIへの変換)を促進していることが明らかになった。
3)Sec61betaを過剰発現することで、小胞体ストレス誘導を抑制することが明らかにとなり、Sec61betaのTgマウスを作製をおこなった。現在、Tgマウスと各種疾患モデルマウスとの交配を計画している。
4)異常蛋白凝集によるオートファジー形成遺伝子発現誘導の分子機構およびERAD凝集分解促進との関係について検討することが可能となった。
5)プロテゾーム活性化
結論
異常蛋白凝集による小胞体ストレスにより活性化されるeIF2aのリン酸化を制御することで、オートファジー形成を制御し、ポリグルタミン凝集を分解できることが明らかになった。2)細胞死をも誘導する小胞体ストレスを誘導することなく、下流を活性化するラパマイシンなどの化合物の探索が、小胞体ストレスを介した疾患の制御に重要であることが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2006-03-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-