成長制御機構の解明と成長障害治療法の開発

文献情報

文献番号
200500919A
報告書区分
総括
研究課題名
成長制御機構の解明と成長障害治療法の開発
課題番号
H16-創薬-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 勤(国立成育医療センター研究所小児思春期発育研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 虎之(国立成育医療センター遺伝診療科)
  • 田中 弘之(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児医科学)
  • 鈴木 徹(日本ケミカリサ-チ株式会社研究センタ-)
  • 引地 一昌(株式会社エスア-ルエル遺伝子・染色体解析センタ-)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成長障害は,一般集団の2.3%に認められる極めて頻度の高い病態でる.本研究の目的は、ヒト成長遺伝子SHOX導入マウスの成長解析、胎児期後期・乳児期の成長機序の原因解明、低身長児における包括的遺伝子・染色体異常スクリーニングにより、成長制御機構を解明し、成長障害治療法を開発することである。
研究方法
ヒト成長遺伝子SHOX導入マウスの成長解析:SHOX正常で典型的な軟骨骨異形成症を有する3家系において3'領域を主に計30以上の座位にたいする欠失解析を行った。その後、in silico解析で進化上保存されている領域を検出し、ルシフェラーゼ活性解析でエンハンサー領域を同定した。
胎児期後期・乳児期の成長機序の原因解明:子宮内発育不全患者30例において、胎児期および乳児期早期の成長障害に密接に関与するインプリンティング異常の解析を行った。
低身長児における包括的遺伝子・染色体異常スクリーニング:対象は、低身長〔-2SD以下〕同胞例が存在する52家系において成長ホルモン遺伝子および成長ホルモン受容体遺伝子を解析した。

結果と考察
ヒト成長遺伝子SHOX導入マウスの成長解析: SHOX 3'領域の800 bp配列が、SHOX promoterとの組み合わせで有意の活性亢進効果を有することを見いだした。これは、SHOX遺伝子発現調節にかかわるエンハンサーが、800 bp領域に存在することを示唆するものである。この成績は、エンハンサーが遺伝子から10-1,000 kb離れた部位に存在するという報告に一致する。このエンハンサーの同定は、SHOX遺伝子導入マウス作製の基礎的デ-タとなるのみならず、発現調節異常症という概念を提唱しうるものである。
胎児期後期・乳児期の成長機序の原因解明:子宮内発育不全患者2例において、第7染色体全域の母親性ダイソミーが確認された。これは、子宮内発育不全症患者の一部において、第7染色体全域の母親性ダイソミーが存在することを示すものである。
低身長児における包括的遺伝子・染色体異常スクリーニング:特発性低身長同胞例においては、成長ホルモン遺伝子および成長ホルモン受容体遺伝子のヘテロ変異は同定されていない。
結論
本年度の主要成果は、以下のように集約される。成長遺伝子SHOXの発現調節領域をSHOX 3'領域の800 bp領域に限局しえた。子宮内発育不全症患者の一部において、第7染色体全域の母親性ダイソミーが存在することが見い出された。低身長同胞例において成長ホルモン遺伝子変異解析において、現在ヘテロ変異は認めらなかった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-26
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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