HIV-1ディフェンスワクチンの創製・開発研究

文献情報

文献番号
200500918A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV-1ディフェンスワクチンの創製・開発研究
課題番号
H16-創薬-105
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
梅田 衛(日水製薬株式会社診断薬研究部イノベーションリサーチグループ)
研究分担者(所属機関)
  • 仲宗根 正(国立感染症研究所 HIVワクチン開発)
  • 庄司 省三(熊本大学薬学部 生化学)
  • 三隅 将吾(熊本大学薬学部 生化学)
  • 高宗 暢暁(熊本大学薬学部 生化学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,860,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来のワクチンの基本概念から逸脱し、HIV-1ウイルスを中和するワクチンに加え、HIV-1の侵入を防止し生体の守りを固める手段をHIV-1 coreceptorに対する自己抗体に求め、かつ経口粘膜免疫が可能な経口ワクチンすなわちHIV-1ディフェンスハイブリッドワクチンを可能とすること。
研究方法
HIV-1ディフェンスハイブリッドワクチン抗原を1.細胞性因子として自己抗体常時誘導抗原であるCCR5のUPA、2.ウイルス性因子であるgp120とgp41のN末ドメイン融合タンパク質(gp140 protein)、3.M細胞・B細胞標的活性化分子のgallic acid derivatives, CpG-DNA(S)、これら3者をハイブリッドさせて調製し、その経口粘膜誘導に関する諸性質を調べた。
結果と考察
合成した6-アミノ-ヘキシル-CpG-DNA(S)をHPLCで分離し、得られたメジャーピーク由来のフラクションをMALDI TOF-MSで解析したところ、質量数7877.2186に[M+H]+の分子イオンピークが検出された。これにより高純度の目的化合物の合成が確認出来た。
 経口粘膜免疫によるHIV-1の感染防御のための分子化学的方策として、ワクチンの標的組織にGALTを選択し、腸管粘膜における抗原取り込みを行うM細胞にターゲッティングする新規化合物を調製した。その分子の細胞内での分解を回避するために、基本骨格部分にはD体のアミノ酸を使用し、大量合成にも成功した。培養Caco-2 cellを分化させて得られたM細胞に、本研究で分子設計して合成したM細胞標的分子を作用させた結果、M細胞に特異的に結合していることが観察された。SIVmac239のENV protein SIVmac239 gp140の発現はCOS-7細胞内で確認され主に三量体構造を維持していた。現在HIV-1ディフェンスハイブリッドワクチンを大量に調製しており、これを用いて経口免疫後の抗血清の評価をアカゲザルのcell lineを用いたSIVmac239感染実験により確認する計画である。
結論
HIV-1ディフェエンスハイブリッドワクチン抗原が作出され、ヒトに優しく、long action抗原への工夫が実現出来れば、AIDSディフェンスワクチンとして所期の目的を達成できると確信する。

公開日・更新日

公開日
2006-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-18
更新日
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