外科手術摘出ヒト組織を用いたオーダーメード医療の研究と遺伝多型を考慮したヒト肝細胞の代謝研究への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200500917A
報告書区分
総括
研究課題名
外科手術摘出ヒト組織を用いたオーダーメード医療の研究と遺伝多型を考慮したヒト肝細胞の代謝研究への応用に関する研究
課題番号
H16-創薬-080
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 薬理部)
研究分担者(所属機関)
  • 上川雄一郎(獨協医科大学薬理学研究室)
  • 窪田敬一(獨協医科大学病院消化器外科)
  • 山添 康(東北大学薬学部)
  • 二宮真一(第一化学薬品株式会社 薬物動態研究所)
  • 嶋田 薫(ファイザー中央研究所薬物動態研究部)
  • 山田泰弘(田辺製薬株式会社薬物動態研究所 薬物動態グループ)
  • 馬場隆彦(塩野義製薬(株)新薬研究所)
  • 寺内 嘉章(大日本製薬株式会社 開発研究所 薬物動態研究部)
  • 中村明生(日本新薬(株)開発研究所 薬剤研究部)
  • 田代 智(協和発酵工業(株)医薬研究センター薬物動態研究所)
  • 岡崎 治(第一製薬(株)創剤代謝研究所)
  • 三浦慎一(三共(株)薬剤動態研究所)
  • 加藤基浩(中外製薬(株)富士御殿場研究所、前臨床研究第一部)
  • 森田繁道(サノフィ・アベンティスグループ アベンティスファーマ(株)研究開発本部、開発研究所 薬物動態研究室)
  • 神山 佳輝(アステラス製薬(株)創薬研究本部代謝研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本人の外科手術摘出組織等を用いて疾病関連遺伝子の発現と病態、発症との関連性と疾病時における薬物動態関連遺伝子発現の変動について、薬物代謝能及び誘導能の新規評価系、および中国人肝組織の日本への提供の妥当性について検討する。

研究方法
研究試料は倫理的に妥当な形で、また、提供者の好意のもとで入手した。ヒト組織利用研究は施設ごとの倫理委員会の承認を得て研究を行った。中国上海市のヒト組織の日本への提供の法的・倫理的妥当性については関係者と提供社への問い合わせ、実地調査及び各種の情報を基に検討した。

結果と考察
ヒト単球様白血病細胞THP-1細胞では、TGF-βがLTC4合成酵素発現を増強し、IFN-γやTNF-αがその制御機構として重要な役割を果たしていた。HCV等非感染者およびC型慢性肝炎患者の肝試料55検体において、疾病群ではCYP2B6の発現低下傾向が見られることを確認した。肝繊維化のステージが進むにつれ、CYP1A2やCYP2E1の発現が低下した。
 ヒト肝様細胞に分化するHepaRG細胞は、酵素誘導試験をはじめとする薬物動態試験に適用可能であった。ヒト幹細胞由来のMDヘパ細胞は薬物動態試験に用いるには改善が必要と思われた。
 ヒト型CYP3A4誘導評価を迅速かつ再現性良く、また高感度で検出することが可能な細胞株を樹立した。操作が簡便で、長期にわたってレポーター活性を維持でき、誘導評価のハイスループット系への適応が可能である。
 HepG2の3次元高密度培養により、CYP3A4の発現誘導能が著しく改善された。同培養法は生体内の肝細胞の機能を再構築する系として有用である。なお、用いる担体により機能の改善に差異がある。より良い再構築系を確立するため、フランスINSERMより肝実質細胞様に分化させることが可能な肝前駆細胞株HepaRGを導入した。
 中国ヒト肝臓購入については、中央政府の許可の必要性について不明確なところが残ったこと、死刑囚からの提供の可能性が否定できなかったことから当研究グループでは購入しないこととした。



結論
日本人の気管支喘息およびC型肝炎患者の組織における疾患関連遺伝子発現と病態との関連性について検討した。薬物の代謝・誘導能の新規評価系を構築した。新規CYP3A4誘導細胞株は、誘導評価のハイスループット化が可能であった。

公開日・更新日

公開日
2006-05-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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