EBMに基づく医薬品の安全性・有効性を確立するための大規模臨床データに関する学術情報の解析、評価に関する研究

文献情報

文献番号
200500916A
報告書区分
総括
研究課題名
EBMに基づく医薬品の安全性・有効性を確立するための大規模臨床データに関する学術情報の解析、評価に関する研究
課題番号
H16-創薬-076
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
森川 馨(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 典子(株式会社アームシステックス)
  • 奥村 一(あすか製薬株式会社研究開発統括本部)
  • 岩元 憲治(アステラス製薬株式会社ファーマコヴィジランス部)
  • 小枝 正暢(エーザイ株式会社臨床研究センター)
  • 西畑 利明(参天製薬株式会社研究開発本部)
  • 田崎 武信(塩野義製薬株式会社解析センター)
  • 佐藤 昇(シミック株式会社戦略薬事コンサルティング部)
  • 吉富 恭助(第一製薬株式会社学術業務部)
  • 簑原 一雄(ファイザー株式会社研究推進部)
  • 大橋 彰(ボシュロムジャパン株式会社開発薬事本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の安全性・有効性を確立するために、大規模な無作為化比較試験、コホート研究に関する学術文献および海外規制機関情報のデータ解析・評価法を検討すると共に眼科疾患、癌、循環器疾患、精神神経疾患など疾患別に安全性、有効性を評価、検討した。
研究方法
医薬品の安全性・有効性のデータ評価及び解析手法に関しては、メタアナリシスを中心に検討した。また、疾患毎に学術文献、及び米国・保健省のAHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)のエビデンスレポートなど公的機関の報告書、及び直近の学術文献また日本における治療法と比較しながら、データに基づいてEBMの立場から疾患毎に医薬品の安全性・有効性について検討した。
結果と考察
(1)医薬品の安全性・有効性のデータ評価および解析手法に関して、大規模臨床試験データの統計的解析に基づいた医薬品の安全性評価、メタアナリシス比較研究における間接比較、交絡調整法としての共分散分析と一般化加法モデル、(2)医薬品の市販後安全性調査に関して、リピトール使用成績調査、アプニション注の未熟児無呼吸発作に対するエビデンス、(3)眼科領域疾患に関して、緑内障治療薬の有効性・安全性、加齢黄斑変性に関する長期間観察による大規模多施設無作為化臨床試験、(4)癌に関して、癌疼痛の管理、(5)内分泌疾患に関して、更年期関連症状の管理、(6)循環器疾患に関して、外傷後の静脈血栓塞栓症の予防、肥満2型糖尿病に対するメトホルミンの有効性と安全性、(7)精神神経疾患に関して、心筋梗塞後のうつ病治療に関するエビデンス、不眠症の薬物療法について、メタアナリシスの立場から安全性・有効性に関して評価研究を行った。
結論
これからの医療を考える上で臨床現場での医薬品の安全性・有効性のデータに基づいた医療(EBM)を行うことが最も重要であり、かつグローバルな視点で臨床データの有効性と安全性を評価することが重要である。しかし、有効性に比べ安全性の評価は、EBMに基づいた方法がまだ確立していない。事前に評価項目を定める有効性と比較して、安全性評価では、分母を持たない解析となるなど慎重なデータの評価が必要となる。このような難点を克服するためには、安全性評価の観点を入れた臨床試験の実施とコホート集団での市販後データの解析、そして安全性評価に関しては、発生頻度が低いことから国際協力によるグローバルな安全性データの収集と評価が特に重要であると考える。本研究成果の詳細は、研究報告書、またはHS研究成果普及事業による研究報告会要旨(16.17年度)を参照頂きたい。

公開日・更新日

公開日
2006-05-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200500916B
報告書区分
総合
研究課題名
EBMに基づく医薬品の安全性・有効性を確立するための大規模臨床データに関する学術情報の解析、評価に関する研究
課題番号
H16-創薬-076
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
森川 馨(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 典子(株式会社アームシステックス)
  • 奥村 一(あすか製薬株式会社研究開発統括本部)
  • 岩元 憲治(アステラス製薬株式会社ファーマコヴィジランス部)
  • 小枝 正暢(エーザイ株式会社臨床開発センター)
  • 犬山 里代(グラクソ・スミスクライン株式会社開発本部)
  • 西畑 利明(参天製薬株式会社研究開発本部)
  • 田崎 武信(塩野義製薬株式会社解析センター)
  • 佐藤 昇(シミック株式会社戦略薬事コンサルティング部)
  • 吉富 恭助(第一製薬株式会社学術業務部)
  • 古来 啓蔵(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社医薬開発本部)
  • 平河 威(ファイザー株式会社PMSバイオメトリクス部)
  • 簑原 一雄(ファイザー株式会社開発推進部)
  • 大橋 彰(ボシュロムジャパン株式会社開発薬事本部)
  • 竹村 玲子(財団法人冲中記念成人病研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、海外で得られている大規模無作為化比較試験、コホート研究などの臨床データ及び海外規制機関情報をもとに、これらの臨床データをどのように医学的にまた統計学的に評価し、日本の医薬品の安全性・有効性に役立てていくか検討した。
研究方法
データ評価および解析手法に関しては、メタアナリシスを中心に検討した。また、疾患毎に米国・保健省のAHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)のエビデンスレポート、及び直近の学術文献、また日本における治療法と比較しながら、データに基づいてEBMの立場から疾患毎に、医薬品の安全性・有効性について検討した。
結果と考察
(1)データ評価及び解析法に関して、大規模臨床試験データの安全性評価、メタアナリシス研究における間接比較、交絡調整法としての共分散分析と一般化加法モデル、(2)市販後安全性調査に関して、リピトール使用成績調査、アプニション注の未熟児無呼吸発作、(3)循環器疾患に関して、心房細動患者の初期治療法、女性における冠動脈疾患のリスク因子と予防、心不全に対する薬物療法:小数集団におけるACE阻害剤とβ遮断薬、安定性狭心症治療、外傷後の静脈血栓塞栓症の予防、肥満2型糖尿病に対するメトホルミン、(4)精神神経疾患に関しては、抗うつ薬の有効性と安全性、うつ病、変形性関節症、肝疾患に対するS-アデノシルメチオニン、認知症に対する薬物療法、心筋梗塞後のうつ病治療、不眠症の薬物療法、(5)癌に関しては、癌性貧血または癌化学療法等により発現した貧血に対するエポエチン治療、癌における諸症状 -痛み,うつ,疲労- 治療、癌疼痛の管理、(6)呼吸器疾患に関しては、慢性喘息の管理、就業年齢層におけるアレルギー性鼻炎、COPD急性増悪の管理、(7)内分泌疾患に関して、更年期関連症状の管理、早産管理、(8)眼科疾患に関して、白内障を伴う緑内障手術と薬物療法、緑内障治療薬、加齢黄斑変性に関する大規模多施設無作為化試験、(9)その他、慢性C型肝炎の治療について、テーマ毎に安全性・有効性に関する評価研究を行った。
結論
現在、医薬品の安全性、有効性評価に関する世界の状況は大きく変わり、グローバルに医薬品の安全性、有効性を評価して使用する時代になっている。有効性の評価に比べ、安全性の評価については、EBMに基づいた方法がまだ確立していないが、安全性評価の観点を入れた臨床試験の実施とコホート集団での市販後データの解析、そして安全性評価に関しては、発生頻度が低いことから国際協力によるグローバルな安全性データの収集と評価が特に重要であると考える。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500916C

成果

専門的・学術的観点からの成果
海外で得られている大規模無作為化比較試験、コホート研究等の臨床データ及び海外規制機関情報をもとに、これらの臨床データをどのように医学的にまた統計学的に解析・評価し、日本の医薬品の安全性・有効性に役立てていくか検討した。データ評価及び解析法に関しては、大規模臨床試験データの安全性評価、メタアナリシスにおける間接比較、交絡調整法としての共分散分析と一般化加法モデル、及び市販後安全性調査結果の検討、また、疾患領域毎に循環器疾患、精神神経疾患、癌などについてEBMに基づいて安全性・有効性の評価を行った。
臨床的観点からの成果
医薬品の評価・解析法の検討と共に、疾患領域毎に1)循環器:心房細動の初期治療、女性冠動脈疾患、心不全薬物療法, ACE阻害剤とβ遮断薬、安定性狭心症治療、静脈血栓塞栓症、肥満2型糖尿病、2)精神神経疾患:抗うつ薬、認知症、不眠症、3)癌:癌性貧血治療、癌の諸症状、癌疼痛、4)呼吸器:慢性喘息、就業年齢アレルギー性鼻炎、COPD、5)内分泌:更年期関連症状、早産管理、6)眼疾患:白内障、緑内障治療、加齢黄斑変性、7)慢性C型肝炎治療等についてEBMに基づいて安全性・有効性に関する評価を行った。
ガイドライン等の開発
具体的なガイドラインの作成には至っていない。
その他行政的観点からの成果
本研究で得られた重要な海外での医薬品安全情報の解析結果は、主任研究者の所属する国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部で行っている業務に役立てると共に、週報として厚生労働省に報告する事項に参考にした。なお、週報は、国立医薬品食品衛生研究所のホームページにおいても医薬品安全性情報として提供している。
その他のインパクト
研究成果を論文でまとめると共に日本薬学会等(24題)で発表した。また、HS研究成果普及啓発事業として各年度ごとに研究報告会を行ない冊子としてまとめた。EBMに基づく医薬品の安全性・有効性を確立するための海外の大規模臨床データの解析、評価に関する研究.平成16年度創薬等HS総合研究事業(2005)、EBMに基づく医薬品の安全性・有効性を確立するための海外の大規模臨床データの解析、評価に関する研究.平成17年度創薬等HS総合研究事業(2006)。研究成果は、薬事日報、日刊薬業等に報道された。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
24件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
平成16・17年度創薬等ヒューマンサイエンス総合研究推進事業、研究成果等普及啓発事業(2005・2006)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-