ヒト細胞を供給源とした再生医療の早期実現化を目指す有効性、安全性の検証システムの確立

文献情報

文献番号
200500915A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト細胞を供給源とした再生医療の早期実現化を目指す有効性、安全性の検証システムの確立
課題番号
H16-創薬-073
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所・生殖医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 黒田 雅彦(東京医科大学 病理学)
  • 伊藤 潤平(サミット・グライコリサーチ株式会社 免疫学)
  • 原 英二(徳島大学ゲノム機能研究センター タンパク情報分野)
  • 小杉 好紀(株式会社ピリオドック)
  • 石橋 卓也(株式会社TMセルリサーチ)
  • 黒丸 修(中外製薬株式会社 藤御殿場研究所)
  • 澁谷 功(大塚製薬株式会社 細胞生物学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
27,595,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト細胞を供給源とした再生医療が循環器領域、整形外科領域、皮膚形成外科領域、口腔外科領域で始められた。このようなヒト細胞を供給源とした再生医療の早期実現化を目指すためにそれぞれの細胞移植における有効性、安全性の検証システムを確立する。
研究方法
細胞培養過程に生じる細胞老化、細胞形質転換の点は今後の課題となっている。様々なストレスによりp16遺伝子の発現が上昇すると、DNA合成のみならず、細胞質分裂を阻害する機構が働くことを明らかにした(Terai, M et al, Mol. Biol. Cell, 2005; Mori, T et al, Mol Cell Biol, 2005)。このことは、再生医療の安全性を担保するための基礎データとして極めて重要な意味を有する。すなわち、p16をモニターすることで、細胞老化および細胞形質転換を判断することが可能であり、より客観的な科学的指標を「検証」できたことになる。 
結果と考察
従来,細胞移植の妥当性については、移植された組織を採取することにより、病理組織学的に検討を進めてきた。しかし、患者さんの侵襲は大きく、さらに移植する細胞に対して、遺伝子を導入することでラベルする必要があった。遺伝子を導入することは、医療への応用は否定的に考えられてきた。さらに導入する遺伝子についての安全性・妥当性に関し,医療現場での使用が難しい面は否定できない。本研究においてSPIOによるMRI造影剤の可能性を追求し、再生医療にむけてナノテクノロジーを用いた新素材を応用することにより、医療面における安全性を保持したままで、移植後数時間から1日といった治療後極めて早期に、また、極めて低侵襲性の再生医療に対する検証システムが開発されることを意味する。
結論
疾病に対する新たな細胞治療法の開発に関する基盤的情報を得ることができ、それらについての情報を国際的なデータベースに登録できた。再生医療・細胞治療に用いる細胞の安全性の検証システムはこのような基盤的情報のデータベース構築、実際に細胞を取り扱う際の作業工程におけるバリデーション項目を医薬品製造レベルまで高めていくことが必要不可欠であるとともに、生命倫理に照らし合わせた一つ一つの手続きを踏むことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-18
更新日
-