天然抗酸化剤を利用した創薬化学

文献情報

文献番号
200500913A
報告書区分
総括
研究課題名
天然抗酸化剤を利用した創薬化学
課題番号
H16-創薬-067
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
福原 潔(国立医薬品食品衛生研究所有機化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 聡(持田製薬株式会社経営企画室新規事業グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多様な生理活性を有している天然抗酸化物の構造に着目して、これらの構造を医薬品シーズとした新しい生活習慣病の予防または治療薬を開発することを目的としている。今年度はポリフェノールの安定性と機能性を高める天然植物成分の探索と、昨年度開発したカテキンの構造を平面に固定化した平面型カテキンについてがん細胞に対する作用を明らかにした。
研究方法
1) カテキンの機能性を高める食品成分とその作用点について調査し、ポリフェノールオキシダーゼ阻害剤の基本骨格を有する植物由来化合物について薬理スクリーニング(PPAR-γ結合能)を行った。
2) 平面型カテキンについてがん細胞に対する増殖阻害効果とアポトーシスの誘導について検討を行った。
結果と考察
1) カテキンの機能性を高める成分として、メタボリック症候群の原因となる内蔵脂肪を抑制する天然可食成分の探索を行い、ポリフェノールオキシダーゼ阻害剤の構造を有する植物由来化合物を選別した。次に選別した化合物についてPPAR-γに対する結合能を評価した結果、変形トリテルペンを母核に持つ化合物に強い結合性を見いだした。この成分は抗肥満ならびにアンチエイジング、美白といったヘルスケア製品に応用できる可能性がある。
2) 平面型カテキンのがん細胞(HL60、U937)に対する増殖阻害効果を調べた結果、カテキンは殆ど阻害しないのに対して、平面型カテキンは強力な阻害効果を示した。その作用はエピガロカテキンガレートやレスベラトロールよりも強力であることがわかった。また平面型カテキンを添加したがん細胞はアポトーシス小胞の形成および核のヌクレーゾーム単位の断片化が確認されたことからアポトーシスが誘導されていることがわかった。この結果はがんの予防および治療薬として平面型カテキンが優れていることを示している。
結論
天然抗酸化物質の生活習慣病に対する予防効果に着目して、広く国民に信頼される有効性●安全性が保証された特定保健用食品、あるいは生活習慣病の予防または治療に有効な医薬品の開発に資する研究を行い、平成17年度は以下の成果が得られた。
1) ポリフェノールオキシダーゼ阻害物質と部分的に共通の構造を有する植物成分についてPPAR-γへの結合能を解析した結果、変形トリテルペノイドに強い結合性がみいだされた。
2) 昨年度開発した平面型カテキンはがん細胞に対してアポトーシスを誘導して強力な増殖阻害作用を示すことがわかった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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