バイオテクノロジーによるワクチンの創製と改良技術の開発

文献情報

文献番号
200500911A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオテクノロジーによるワクチンの創製と改良技術の開発
課題番号
H16-創薬-058
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 善治(大阪大学微生物病研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木哲朗(感染症研究所)
  • 森石恆司(大阪大学微生物病研究所)
  • 伊丹清馬(三菱ウエルファーマ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでの成績から、ヒト肝癌由来のHepG2細胞表面にHCVの感染を許容する蛋白質性のリセプターの存在が推測されており、HCVのエントリーリセプターのクローニングを進める。HCVの侵入機構を解明できれば、新しい治療薬やワクチンの開発への道が開けるものと思われる。
研究方法
1)HCVのエンベロープ蛋白質をポリプロテインの形で発現させたCHO細胞と293T細胞を用いて、シュードタイプウイルスを作製し、その細胞親和性を検討した。2)GBV-B全長cDNAを持つプラスミドからゲノムRNAを合成し、タマリンに接種して感染性を検討した。また、GBV-B遺伝子を組み込んだ組換え弱毒ワクシニアウイルスを作製し、マウスにおける免疫誘導能を検討した。3)Cyclosporine AのcyclophilinのPPIase活性阻害を指標にしたスクリーニング系を構築した。
結果と考察
1)ヒト繊維芽細胞成長因子5(hFGF5)がHCVの新しい受容体候補分子であることが示された。293T細胞で作製したシュードタイプウイルスはhCD81依存的な感染指向性を示し、CHO細胞で作製するとhFGFR5依存的に感染することが示された。また、C型肝炎患者血清中にも同様な親和性を示すHCV粒子が存在することが示された。2) GBV-B全長cDNAを持つプラスミドから作製したRNAは、タマリンに感受性を示した。また、GBV-B蛋白を発現する組換え弱毒ワクシニアウイルスは、マウスに液性、細胞性免疫を誘導した。3) Cyclophilinの酵素活性を評価する系を構築した。しかしながら、酵素反応が早く制御が難しい系であるためさらなる改良が必要と考えられた。
結論
1)C型肝炎患者の体内には少なくとも、hCD81やhFGFR5に親和性を示すHCVが産生されている可能性が示唆された。2)GBV-Bのリーバースジェネティックス系とin vivoでの感染実験系が構築できた。組換え弱毒ワクシニアウイルスは生体内で目的蛋白に対する液性、細胞性及び粘膜免疫を誘導することができ、安全な組換え生ワクチンとしての応用が期待される。3)CyclophilinのPPIase活性を評価できる系を構築した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-