細胞医療に用いられる細胞組織利用医薬品の品質・安全性評価技術の開発

文献情報

文献番号
200500908A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞医療に用いられる細胞組織利用医薬品の品質・安全性評価技術の開発
課題番号
H16-創薬-040
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 育男(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 分子細胞機能学)
  • 服部 秀志(大日本印刷株式会社 研究開発センター 先端技術研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,175,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
幹細胞学や発生学の急速な進歩やバイオテクノロジー応用技術の発展により、ヒトまたは動物の細胞や組織を培養、加工し、様々な疾患の治療に用いる細胞組織利用医薬品の開発が急速に進んでいる。本研究では、細胞組織利用医薬品の品質や安全性の確保、また有効性等を適切に評価できる試験法の開発を行うとともに、より安全性が高く高品質の製品の実用化に向けた基盤技術の開発も行うことを目的としている。
研究方法
1)ヒト造血幹細胞から初期血管内皮前駆細胞(early EPC)の誘導系の確立、2)EPC産生サイトカインの解析、3)光触媒を用いたパターン化技術を応用したin vitroヒト毛細管作成技術の確立とそのin vitro、in vivoでの機能評価、4) 生体に直接適用できる基盤を用いた血管内皮細胞の毛細血管作成法を確立するために種々の基材の検討。
結果と考察
1) ヒト造血幹細胞からearly EPCの誘導にトロンボポエチン(TPO)が重要な役割を果たすことを見出した。また、early EPCは血管内皮細胞誘導能のあるIL-8の産生能が極めて高いことを明らかにした。このことはearly EPCの産生するIL-8が血管再生に重要な働きをしていることを示唆するものである。種々のサイトカインの組合せることにより、高い確率でout-growth EPC(OEC)を誘導できる条件を明らかにすることができた。2) 血管内皮細胞やEPCの機能評価を行うために、基盤上に細胞が接着しやすい親水性パターンを光工学的に描くことにより、in vitroで自由自在に毛細血管を作り出す方法を開発した。また、パターン化した基盤に接着させたヒト血管内皮細胞をヒト羊膜に転写し、得られた毛細血管をヌードマウスに移植することにより、血流が流れることや症状の顕著な改善が認められることを明らかにした。従って、本方法は、EPCや血管内皮細胞の定量的な機能評価法として非常に有用であることが示された。生体に直接適用できる基材の開発は達成できなかったが、より短時間に毛細血管を形成できる基材を明らかにすることができた。
結論
ヒト造血幹細胞からearly EPCのin vitro誘導系を用いてその誘導にTPOが重要な役割と果たすこと、early EPCが高いIL-8産生能をもつことなどを明らかにした。血管内皮細胞やEPCの有用性評価に適応可能なin vitro毛細血管網作成技術を開発した。開発した毛細血管網はin vivoでも機能することを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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