エイズ医薬品候補物質のスクリーニングを基盤とした、抗エイズ新薬開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500902A
報告書区分
総括
研究課題名
エイズ医薬品候補物質のスクリーニングを基盤とした、抗エイズ新薬開発に関する研究
課題番号
H16-創薬-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
棚元 憲一(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島 廣治(国立大学法人東京大学 医学系研究科)
  • 星野 洪郎(国立大学法人群馬大学 医学系研究科)
  • 大竹 徹(大阪府立公衆衛生研究所 感染症部)
  • 石﨑 徹(京都府保健環境研究所 細菌・ウイルス課)
  • 千々和 勝己(福岡県保健環境研究所 保健科学部)
  • 山本 直彦(名古屋大学大学院 医学系研究科)
  • 野口 有三(横浜市衛生研究所 検査研究課)
  • 秋吉 京子(神戸市環境保健研究所 微生物部)
  • 本間 寛(北海道立衛生研究所)
  • 小河 正雄(大分県衛生環境研究センター 微生物部)
  • 貞升 健志(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 齋藤 隆行(神奈川県衛生研究所 微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
企業・大学等から提供される合成化学物質や生薬抽出物について、エイズウイルス増殖抑制を指標にして、広く未知の抗エイズウイルス物質探索を行う。併せて、より効率的かつ迅速なスクリーニング法の開発研究や、さらには有効物質についての作用メカニズムや生理作用解析を行うことにより、総合的な創薬への発展を目指すものである。
研究方法
1.エイズ医薬品候補物質のスクリーニング研究:企業、大学、研究所にサンプル提供を募る。マイクロプレート法、及びMagic-5アッセイ法により、抗HIV活性のスクリーニングを行う。2.作用機作:CCR5およびCXCR4分子への作用をFITCラベルモノクローナル抗体の結合抑制試験により調べた。3.新規スクリーニング方法の開発:1)昨年度開発したGFP発現を指標としたHIV感染検出系の検証を行った。2) HIV遺伝子のmRNAをリアルタイムPCRで増幅し、各ウイルス形成過程で解析した。4.薬剤耐性感染性クローンの作成:L90M およびM46Iに変異をもつ耐性感染性クローンを作成した。
結果と考察
1)合計505サンプルについて抗HIV活性スクリーニングを行った結果、マイクロプレート法では5サンプルに、またマクロファージ好性ウイルスの増殖抑制においても同じく27サンプルに活性が認められた。2)昨年度の陽性サンプルにつき作用機作の検討を行い、T細胞好性HIV-1の増殖を抑制した2種の薬剤はCXCR4分子に何らかの作用を及して抗ウイルス効果を示した。3)新規スクリーニング法として開発したGFP発現を指標とする方法、及びリアルタイムPCR法を応用した方法の検証を行い、抗HIV剤スクリーニングへの応用が可能であること、さらに、後者は新たな作用領域の推定にも応用できることがわかった。4)耐性変異のデーターをもとに作成した感染性クローンが耐性スクリーニングを行なう上で有用であることを示した。
結論
505サンプル中、マイクロプレート法では5サンプルに、マクロファージ好性ウイルスに対しては27サンプルと、延べ32の物質に活性が認められた。活性自体もかなり強いこと、多くは天然由来の粗抽出物であること、さらに新規作用機作をうかがわせる化合物も得られたことから、創薬への発展が大いに期待される。また、いくつかの新規スクリーニング方法の開発研究、及び耐性ウイルス研究を推進した。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
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