多剤耐性HIV-1による治療困難症例を克服するための新規治療薬剤・治療法開発研究

文献情報

文献番号
200500901A
報告書区分
総括
研究課題名
多剤耐性HIV-1による治療困難症例を克服するための新規治療薬剤・治療法開発研究
課題番号
H16-創薬-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 明里宏文(独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター)
  • 北村義浩(東京大学医科学研究所先端医療研究センター)
  • 木村廣光(国立成育医療センター研究所共同研究管理室)
  • 駒野 淳(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 田中勇悦(琉球大学大学院医学研究科)
  • 田中晴雄(北里研究所基礎研究所)
  • 野村伸彦(富山化学工業株式会社総合研究所第3研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
64,602,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存の抗HIV-1薬剤に対して多剤耐性を獲得した難治症例を救済するために、既存の薬剤とは標的および阻害機序が異なり交叉耐性を示さない新規薬剤の開発を目的としている。
研究方法
研究班では検索グループと評価グループの2グループに分かれて研究開発を進めた。検索グループでは新たな評価系の構築と、低分子化合物ライブラリの検索を実施した。評価グループでは検索グループで見出した候補化合物の臨床応用の可能性を検討した。また、新たなスクリーニング系の確立に繋がる薬剤開発標的タンパクの機能的解析研究を実施した。
結果と考察
研究班では検索グループと評価グループの2グループに分かれて研究開発を進めた。
検索グループでは低分子化合物ライブラリより、IC50<30μMのものわが32検体同定した。またHIV由来ペプチドプールの探索から3種類の阻害ペプチドを見出した。薬剤探索用の標的細胞として樹状細胞由来レポーター細胞の確立を試みた。評価グループではヒット化合物を中心に、側鎖置換等の修飾による阻害活性の増強と毒性の軽減、薬剤耐性HIV-1の誘導、そしてin vivo阻害効果の評価をhu-PBL-SCIDマウスで行った。接着・侵入阻害物質アクチノビンの構造化学的解析行いその作用機序を明らかにした。Vif機能解析ではVifがウイルスプロテアーゼによるGag前駆体のプロセシングを特異的に阻害することを明らかにした。CD4因子の多剤耐性HIV-1に対する阻害効果については患者分離ウイルス11株について解析を行い抑制されるウイルスを4株同定した。カルバゾール誘導体23化合物のインテグラーゼ阻害機序の解析を行い、その責任構造の解析を行った。
現在までに複数の候補化合物の同定に成功した。また現時点では作用機序が明確ではないが強い抗HIV-1阻害活性を呈する化合物群も同定した。TatおよびVif機能の阻害については評価系の構築を終了し、スクリーニングは今後の実施となる。個別の標的に対してのスクリーニングの前段階としてMaRBLE細胞の評価系による一次スクリーニングを実施し、その上でヒット化合物を個別の標的に対する評価系で解析することとした。
結論
研究班では複数のリード化合物の同定に成功し、プロジェクト期間内に臨床実用化の可能性について結論をつけることを目標に阻害機序等の解明に取り組んでいる。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-