機能性精神疾患のハイスループットSNPs解析と機能解析による創薬標的分子の解明

文献情報

文献番号
200500896A
報告書区分
総括
研究課題名
機能性精神疾患のハイスループットSNPs解析と機能解析による創薬標的分子の解明
課題番号
H16-創薬-082
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
功刀 浩(国立精神・神経センター 疾病研究第三部)
研究分担者(所属機関)
  • 尾崎紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はハイスループットな一塩基多型(SNPs)解析を行い、統合失調症や気分障害の発病危険性を高める遺伝子変異を同定し、創薬標的分子を解明することを目的とする。
研究方法
方法は、1)ゲノムワイドな関連解析と2)候補遺伝子研究による脆弱性遺伝子の探索、3)その機能解析である。
1)統合失調症患者105名と健常者105名のゲノムDNAを用いてGene Chip Assay(Affymetrix)を用いて5万SNPsについてスクリーニングした。
2)SNPsのデータベースの中からミスセンス多型とプロモーター領域多型を中心に抽出してTaqMan法によるタイピングを行った。また、GABAA受容体α1サブユニット遺伝子(GABRA1)について詳細な解析を行った。
3)双極性障害と関連するBDNF遺伝子の多型について細胞生物学的機能解析、統合失調症の遺伝子として注目されているDISC1遺伝子について細胞生物学的解析と脳画像解析を行った。
(倫理面への配慮)「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を遵守した研究計画書を作成し、研究施設での倫理委員会において承認を受けた上で研究を行った。試料提供者への説明とインフォームド・コンセント、個人情報の厳重な管理(匿名化)などを徹底した。
結果と考察
1)ゲノムワイド関連解析により有意な関連(p<0.05)を示すSNPsを2000個以上見出した。高度に有意な関連(p<0.001)を示したSNPsをおよそ50同定した。
2)約250のSNPsについて解析した結果、機能性精神疾患と有意に関連していた遺伝子を6個同定した。また、GABRA1遺伝子と覚醒剤使用障害との間に関連を認めた。これらの分子は精神疾患の創薬標的分子であることが示唆される。
3)BDNFの多型が転写活性に影響を与えることが示唆された。DISC1が細胞保護作用をもち、DISC1のミスセンス変異がうつ病と有意に関連し、リスクアレルをもつ者は帯状回の灰白質体積が減少していることなどを見出した。
結論
1)ゲノムワイドな関連解析の1次スクリーニングを完了した。今後、統合失調症の脆弱性遺伝子を発見するため重要な基盤データとなる。
2)候補遺伝子研究により、精神疾患と関連する遺伝子を6個同定した(GABRA1を含めれば7つ)。今後機能解析を進めていく必要がある。
3)BDNFとDISC1の遺伝子多型の機能を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-