文献情報
文献番号
200500891A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性ストレス負荷によるうつ病様病態の発症分子機構の解明と創薬
課題番号
H16-創薬-026
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
田平 武(国立長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 譲原光利((株)ツムラ研究開発本部中央研究所)
- 溝口和臣(国立長寿医療センター研究所)
- 高 昌星(信州大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、慢性ストレス負荷によるうつ病様病態発生機構を分子レベルで解明し、創薬につなげる。また、ストレスによる自己免疫増悪機序を明らかにする。
研究方法
1.Wistar系雄性ラットに水浸拘束ストレスを4週間負荷し、前頭前野よりtotal RNAを抽出し、DNAチップ解析に用いた。蛋白質解析にはヒト髄液を用いてナノLC-MS/MS解析する系を立ち上げた。グルココルチコイド受容体(GR)をノックダウンする為にGRに対するsiRNAを構築し、アデノウイルスベクターに挿入した。
2. SJL/Jマウス脳内にタイラー脳脊髄炎ウイルス(TMEV)を接種し、TMEV誘発性脱髄疾患を作成した。ウイルス接種後拘束ストレスを負荷し、臨床症状の観察、血中CORTの測定を行った。
(倫理面への配慮: 動物実験は各施設の動物実験倫理委員会の承諾を得て行った。ヒト髄液は倫理委員会の承認の後インフォームドコンセントを得て収集された検体を用いた。
2. SJL/Jマウス脳内にタイラー脳脊髄炎ウイルス(TMEV)を接種し、TMEV誘発性脱髄疾患を作成した。ウイルス接種後拘束ストレスを負荷し、臨床症状の観察、血中CORTの測定を行った。
(倫理面への配慮: 動物実験は各施設の動物実験倫理委員会の承諾を得て行った。ヒト髄液は倫理委員会の承認の後インフォームドコンセントを得て収集された検体を用いた。
結果と考察
1.これまでの研究成果を踏まえ、①慢性ストレス負荷により発現が増減する、②副腎摘徐(ADX)によっても同様の挙動を示す、③ADXによる発現の増減は、コルチコステロン(CORT)により正常化される、④慢性ストレス負荷による発現の増減はTJ-12により正常化される、これらの条件を満たす遺伝子を関連遺伝子とした。このようにして約5,000個の変動遺伝子を約300個に絞込み、さらに脳での発現解析により十数個にまで絞り込んだ。ナノLC-MS/MS解析では1回の解析で10,000以上の蛋白質情報が半定量的に得られるようになった。GRに対するsiRNAを前頭前野に接種することによりタンパクレベルで約60%のノックダウンに成功した。
今後、絞り込んだ遺伝子をもとにストレスによるうつ病様状態の発症に関わる遺伝子を同定する。また、siRNAでGRをノックダウンしたときにうつ病様状態が得られるか否かについて行動学的解析を行う。
2. 慢性拘束ストレスはウイルスによって惹起される自己免疫性脱髄性脳炎を憎悪させることが分かった。これは多発性硬化症により近い動物モデルとされ、ストレスによる再発・憎悪機序の解析に有用と思われる。
今後、絞り込んだ遺伝子をもとにストレスによるうつ病様状態の発症に関わる遺伝子を同定する。また、siRNAでGRをノックダウンしたときにうつ病様状態が得られるか否かについて行動学的解析を行う。
2. 慢性拘束ストレスはウイルスによって惹起される自己免疫性脱髄性脳炎を憎悪させることが分かった。これは多発性硬化症により近い動物モデルとされ、ストレスによる再発・憎悪機序の解析に有用と思われる。
結論
慢性ストレス負荷ラットの前頭前野における遺伝子発現を、DNAチップを用いて網羅的に解析し候補遺伝子を十数個に絞り込んだ。
公開日・更新日
公開日
2006-04-26
更新日
-