プリオン複製機構の解明とプリオン病の治療法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500882A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン複製機構の解明とプリオン病の治療法開発に関する研究
課題番号
H16-難治-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
金子 清俊(東京医科大学 生理学第二講座)
研究分担者(所属機関)
  • 北條 浩彦(国立精神・神経センター 神経研究所)
  • 桑田 一夫(岐阜大学 医学部)
  • 八谷 如美(東京医科大学 生理学第二講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトプリオン病に対する高感度診断法・治療法の開発を目的とする。
研究方法
1. アンフォルジンによる高感度診断法の開発(八谷)
我々が同定したアンフォルジンによるプリオン病の診断手法開発への応用として、実際の生体内凝集体に対する解きほぐし能を検討するために、ピック病脳に蓄積する異常凝集体であるピック小体をモデル系として用いた。

2. プリオン分子のダイナミクスの検討とIn Silicoでの創薬スクリーニング(桑田)
プリオン分子における様々のダイナミクスを、CPMG緩和分散法及び粗視化したMDシミュレーション法を用いて検討し、さらに創薬のIn Silicoスクリーニングを行った。

3. 対立遺伝子特異的RNAi活性を評価するシステムの確立(北條)
家族性プリオン病の治療法確立を目指すために、今年度はルシフェラーゼレポーター遺伝子を用いてへテロ状態でアリル特異的RNAi活性を簡便に評価するためのアッセイ系の確立を行った。
結果と考察
1. アンフォルジンによる高感度診断法の開発(八谷)
アンフォルジンは極めて凝集性の高いピック小体を容易に解きほぐし、抗体による検出能を500倍以上改善した。BSE感染脳を用いたpreliminaryな検討においても、同様の著明な感度の改善が推測された。

2. プリオン分子のダイナミクスの検討とIn Silicoでの創薬スクリーニング(桑田)
プリオン分子におけるミリ秒からマイクロ秒の遅いタイムスケールの揺らぎが存在する部位が、遺伝性のヤコブ病における変異部位に集中していることが分かった。In Silicoスクリーニングの結果、同部位に特異的に結合しプリオンの構造変換を阻止する化合物を発見した。

3. 対立遺伝子特異的RNAi活性を評価するシステムの確立(北條)
今年度は、すでによく知られている家族性アルツハイマー病のAPP遺伝子のSwedish型変異とLondon型変異をモデル変異対立遺伝子として本アッセイシステムを用いた解析を行い、アリル特異性を示すsiRNAを同定することができた。
結論
1. アンフォルジンによる高感度診断法の開発(八谷)、 2. プリオン分子のダイナミクスの検討とIn Silicoでの創薬スクリーニング(桑田)、 3. 対立遺伝子特異的RNAi活性を評価するシステムの確立 (北條)を通じ、プリオン病の早期診断・治療法の確立に向けて、着実な成果を得ることが出来た。

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
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