難治性皮膚疾患(重症多形滲出性紅斑(急性期)を含む)の画期的治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200500880A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性皮膚疾患(重症多形滲出性紅斑(急性期)を含む)の画期的治療法に関する研究
課題番号
H16-難治-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 公二(愛媛大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 玉井 克人(大阪大学医学部)
  • 岡野 栄之(慶応義塾大学医学部)
  • 飯島 正文(昭和大学医学部)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学医学部)
  • 塩原 哲夫(杏林大学医学部)
  • 岸本 治郎(資生堂ライフサイエンス研究センター)
  • 木下 茂(京都府立医科大学医学部)
  • 相原 雄幸(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
  • 白方 裕司(愛媛大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は難治性皮膚疾患に対する画期的治療法の確立である。①付属器を備えた培養皮膚の開発、②栄養障害型先天性表皮水疱症に対しては培養皮膚を用いた治療法、遺伝子治療法の開発、③重症多形滲出性紅斑(急性期)については診断基準、重症度基準の整備と、画期的治療法の開発を行う。
研究方法
毛乳頭細胞を効率よく培養できる培養液の開発を行った。ヒト表皮角化細胞のSP細胞に特異的に発現している遺伝子をマイクロアレイにて解析した。三次元培養皮膚を改良し、羊膜を表皮と真皮間に挿入することで、より正常皮膚に近い三次元皮膚が作製可能かについて組織学的に検討した。胎生マウスに10週令GFPマウス由来骨髄細胞を移植し、6週齢で免疫組織におけるGFP骨髄移植細胞由来細胞の生着を検討した。さらに、生後10週齢マウス背部皮膚にGFPマウス皮膚片を移植し、拒絶反応および抗GFP抗体産生の有無を検討した。重症多形滲出性紅斑(急性期)の診断基準案の見直しを行い、重症度スコア案を作成した。
結果と考察
角化細胞の幹細胞であるSP細胞に特異的に発現している遺伝子を100個ほど同定した。毛乳頭細胞を効率よく増殖させることができる培養液を開発した。この培養液を用いることにより毛包再生の研究が発展すると思われる。培養条件などを詳細に改善することにより、成熟毛包の再生が期待できると思われる。羊膜付き三次元培養皮膚は、正常皮膚に限りなく近いものであることが明らかとなった。マウス胎仔循環系への骨髄細胞移植により、出生後のマウスにおける外来性遺伝子(GFP遺伝子)に対する免疫寛容を誘導し、GFP発現皮膚移植片に対する拒絶反応を回避できることを確認した。重症多形滲出性紅斑診断基準2005を作成した。重症度判定案2005を作成した。この成果は今後の診断、治療指針、重症度判定に有用であると思われる。
結論
本研究により重症多形滲出性紅斑診断基準2005を作成し、診断指針を確立した。難治性皮膚疾患に対する画期的治療法として、羊膜付き三次元培養皮膚の有用性を示し、それをさらに発展するための幹細胞の分離・維持の必要性が明らかとなった。遺伝子治療には欠かせない免疫寛容誘導法の基礎的データを得られたことは、今後の遺伝子治療の発展に役立つものと考える。

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
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