神経皮膚症候群に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500868A
報告書区分
総括
研究課題名
神経皮膚症候群に関する調査研究
課題番号
H17-難治-032
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
中山 樹一郎(福岡大学医学部皮膚科)
研究分担者(所属機関)
  • 片山 一朗(大阪大学 医学系研究科)
  • 大塚 藤男(筑波大学 人間総合科学研究科)
  • 大野 耕策(鳥取大学 医学部)
  • 佐谷 秀行(熊本大学 医学薬学研究部)
  • 土田 哲也(埼玉医科大学)
  • 中川 秀己(東京慈恵会医科大学)
  • 中村 耕三(東京大学 医学研究科)
  • 樋野 興夫(順天堂大学 医学部)
  • 水口 雅(東京大学 医学研究科)
  • 吉田 純(名古屋大学 医学研究科)
  • 古村 南夫(島根大学 医学部)
  • 縣 俊彦(東京慈恵会医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
神経皮膚症候群に関して、多様な症候を分子レベルで解明するとともに新治療法の開発を目指す。
研究方法
基礎研究でとして、RNA干渉を用いてneurofibrominの発現を抑制することにより、生じた表現型の責任シグナルの解析を行う。またアクチンフィラメントの脱重合、切断のメカニズムを解明する。プロテオミクスの手法を用いてneurofibromin、merlinの細胞内機能を解析する。RNA干渉によりneurofibrominノックダウンメラノサイトを用いてNF1のカフェオレ斑発症の機構を解明する。TSにおけるhamartin、tuberinの欠失による神経分化のシグナル異常において検討を行う。臨床研究では、NF1偽関節の手術の改良、色素斑、カフェオレ斑におけるレーザー療法、悪性末梢神経鞘腫の化学療法を検討する。NF1の臨床調査個人票に関して改定案を作成する。疫学調査研究では疫学斑とも綿密な連絡体制をとり、3回目の全国疫学調査を実施する。
結果と考察
基礎研究ではRNA干渉によるノックダウン細胞の細胞内シグナル解析や最先端プロテオミクスによる関連蛋白質の機能解析などにより、神経皮膚症候群の多彩な症候の分子病態の機序が徐々に明らかとなり、新治療法開発に向けた準備が着実に進行した。臨床研究ではNF1の先天性脛骨偽関節症の骨癒合判定装置の開発、色素斑に対する新治療、NF1に合併した悪性腫瘍に対する化学療法、TSの皮膚病変に対する新治療の開発など比較的早期に実際的な臨床応用が可能と考えられる診断法や新治療法の開発に進展が見られた。また、本研究班でNF1の臨床調査個人票の改訂案を作成しており、しかるべき手続きを経て、変更を行う予定である。
結論
NF1、NF2、TSの各疾患の病態解明および合併する悪性腫瘍発生の分子病態解明についても成果が得られた。さらに腫瘍発生の抑制や癌進展防止の予防的治療も将来的に可能になると考えられた。重症NF1の医療公的扶助に関してさらに分かりやすい病期分類の改訂が期待された。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-