肝内結石症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500864A
報告書区分
総括
研究課題名
肝内結石症に関する調査研究
課題番号
H17-難治-027
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
跡見 裕(杏林大学医学部外科)
研究分担者(所属機関)
  • 二村 雄次(名古屋大学腫瘍外科)
  • 田妻 進(広島大学病院医系総合心療科総合診療医学)
  • 中沼 安二(金沢大学医学系研究科形態機能病理学)
  • 永井 秀雄(自治医科大学消化器外科)
  • 税所 宏光(千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学)
  • 森 俊幸(杏林大学医学部外科)
  • 八坂 貴宏(長崎県離島医療圏上五島病院消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝内結石症に関する調査研究班の目的は、1.肝内結石症の診療に関する全国調査をおこない、診断治療の現状を把握する。2.厳密な症例対照研究の検討を行い、生活習慣病としても肝内結石症の可能性を検討する。3.基礎的、臨床的に肝内結石および肝内胆管癌の発生機序、治療法、予防法を検討する。4.新しい低侵襲的な診断法を含めた費用効果の良い診断体系を確立する。5.以上に結果を基に、肝内結石症に関する新たな診療指針を改訂する。ことである。
研究方法
上述の目的を達成するため、下記のような5つのワーキンググループを編成した。1)疫学ワーキンググループ(A:Case Control Study、B:全国疫学アンケート調査)、2)画像診断・病型分類ワーキンググループ 3)発癌研究ワーキンググループ 4)治療法検討ワーキンググループ 5)診療指針作成ワーキンググループ を編成し個々の課題を検討した。さらに個別研究により診断法や後ろ向き症例検討、発癌のメカニズム、薬物治療や癌遺伝子治療などの様々な課題を検討した。
結果と考察
肝内結石症発症の危険因子のうちオッズ比の高いものとして、生活環境:生家の職業が第1次産業、嗜好品:タバコ、感染症:特異的回虫IgE抗体、HCV抗体、HTLV-I抗体が見いだされた。全国疫学アンケート調査グループでは、次年度の肝内結石症疫学全国アンケート調査に向け、調査法の調整、調査票の作成、調査実施に当たって倫理審査を行った。画像診断・病型分類ワーキンググループは、MRCPによる胆管径測定のファントムによる胆管径測定の精度管理をおこない、直径11?3mmの範囲で正確に計測できることを確認した。またDIC-MDCTの画像データ処理による、詳細なグリソン診断を行った。本研究班で策定した胆管上皮層内異型病変(Biliary intraepithelial neoplasm=BilIN) とそのgrading (BilIN1-3)を国内外11名の病理医に検討して、呼称やそのgradingは妥当しとの回答を得た。成因の検討では細菌感染が直接、CDX2, MUC2発現亢進を誘導し、TLR2, TLR4, NF-κBを介した腸上皮化生を確認した。発癌の過程では、HMGA1、アミノ酸トランスポーターの変異が関与していた。治療法ではベザフィブラートやムチン分解薬の有効性が示された。
結論
これらの結果をふまえ、肝内結石症診療指針の改定を予定している。

公開日・更新日

公開日
2006-06-12
更新日
-