難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500863A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究
課題番号
H17-難治-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大西 三朗(高知大学医学部 分子・生体制御学講座・消化器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 小俣 政男(東京大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
  • 井廻 道夫(昭和大学 医学部 第二内科)
  • 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
  • 幕内 雅敏(東京大学大学院 医学系研究科 臓器病態外科学)
  • 中沼 安二(金沢大学大学院 医学系研究科 形態機能内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性の肝胆道疾患である自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)および劇症肝炎(FH)について、わが国における実態調査をもとに、適正な診断基準を策定し、且つ発症機序の研究を通じて、肝硬変への進展を阻止する新しい薬剤治療法の開発、かつ終末病期での肝移植に替わりうる再生医療の臨床応用を行う。国民の健康福祉の向上と医療経済の効率化への貢献を目的とする。
研究方法
1.それぞれの疾患の実態について全国調査を継続し、成果に基づき、より適切な診断基準、治療方策を明らかにする。
2.臨床症例、疾患モデルを用いて病態解析に関する基礎的研究を行い、新しい治療法の開発に資する。
上記の研究を遂行においては、インフォームドコンセントに基づき、患者の人権擁護を尊重し、個人情報の秘匿ついては、定められた倫理指針、倫理規定を遵守する。動物愛護の精神を尊重する。
結果と考察
自己免疫性肝炎(AIH):軽度肝障害はUDCA単独でコントロ−ルでき、UDCA併用はプレドニソロン維持量を減量できる。小児AIHの発生は約10例/年と推測され、小児AIHは成人と異なる診断基準と診療ガイドラインを要する。原発性胆汁性肝硬変(PBC):全国患者数は特定疾患の疫学班との共同研究により、約12,700人と推定された。長期観察例4,893症例におけるa-PBC, s-PBCの10年生存率は92.1%,61.7%であった。原発性硬化性胆管炎(PSC):実態に関する全国調査により、臨床像が欧米と異なるわが国では独自の診断基準が必要である。小児期発症PSCは臨床像が成人と異なり、別の治療指針が必要である。劇症肝炎:本年度の新規発症71例(劇症肝炎6、急性型35例、亜急性型33例、LOHF3例)の肝移植を含めた救命率は急性型60%、亜急性型46%、LOHF 67%であった。成因では抗結核薬による劇症肝炎が増加しており、注意を要する。劇症肝炎の定義、成因分類、肝移植適応ガイドライン等の見直しと、標準治療のガイドライン作成について2つのワーキンググループが発足した。個別研究についても新しい視点の研究成果が報告された。
結論
初年度は各疾患について全国調査を基に新しい診断基準、治療ガイドラインの策定に必要な基礎資料を得た。次年度からは分子疫学を導入する。評価班の意見を尊重し、他班との連携を取ることが出来た。
 

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
-