急性高度難聴に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500860A
報告書区分
総括
研究課題名
急性高度難聴に関する調査研究
課題番号
H17-難治-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
喜多村 健(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 務(名古屋大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 宇佐美 真一(信州大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 岡本 牧人(北里大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 暁 清文(愛媛大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 福田 諭(北海道大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 小川 郁(慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 佐藤 宏昭(岩手医科大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 福島 邦博(岡山大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 岩崎 聡(浜松医科大学医学部耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、特発性両側性感音難聴の難聴発症メカニズムを解明して、標準的な治療方針を定めて、治療・予防を行う。
研究方法
 突発性難聴の都道府県別または各地域別の推計患者数、年間受療患者数を求め、QOLを検討した。高気圧酸素療法の効果を重症度別に比較・検討し、内耳低体温誘導装置の開発を行った。急性低音障害型感音難聴の受療者数を推測した。急性低音障害型感音難聴の高音域の診断基準を満たさない症例の臨床所見を検討した。原因不明の両側性難聴を対象に、サイトメガロウイルスDNAの検出を行った。一過性内耳虚血モデルを用いて、骨髄幹細胞の効果を検討した。音響外傷性難聴の機序を解明するために、音響暴露後の炎症反応関連サイトカイン、NF-κBの推移、フリーラジカルの発現を検討した。低音障害型感音難聴を示す家系と前庭水管拡大症を呈する症例を対象にして、難聴遺伝子変異の有無を解析した。
結果と考察
 突発性難聴年間受療患者数は、中国、近畿地方では多く、さらに都道府県別でも差が見られた。都市型生活が突発性難聴発症の危険因子であるか否かについて、今後の検討が必要である。突発性難聴のQOLの低下は予想以上であり、心理的側面からの治療の必要性が再確認された。高気圧酸素療法は、高度難聴の症例には試みる価値があると推測された。内耳低体温誘導装置で約1.4℃の鼓膜温低下が得られた。急性低音障害型感音難聴の罹患率は、突発性難聴よりはるかに多く、人ロ100万人対で420から650人の罹患率であった。急性低音障害型感音難聴で高音域に難聴がある症例は、準確実例として今後検討対象とすることにした。原因不明の両側性感音難聴者の原因として、サイトメガロウイルス感染の関与が推測された。
音響暴露による内耳障害に、炎症関連遺伝子、フリーラジカルが関与していると判明した。低音障害型感音難聴症例にWFS1遺伝子変異を、前庭水管拡大症症例にSIX1遺伝子変異を認めた。
結論
突発性難聴は地域による受療者数の差があり、心理的側面からの治療が必要である。急性低音障害型感音難聴の罹患率は、人ロ100万人対で420から650人の罹患率であり、高音域に難聴がある症例は、準確実例として今後検討対象とすることにした。

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
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