ベーチェット病に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500851A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H17-難治-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
金子 史男(福島県立医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 重昭(北海道大学大学院医学研究科)
  • 小野江 和則(北海道大学遺伝子病制御研究所)
  • 磯貝 恵美子(北海道医療大学歯学部)
  • 猪子 英俊(東海大学医学部)
  • 桑名 正隆(慶應義塾大学医学部)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学大学院医学研究科)
  • 川島 秀俊(さいたま赤十字病院)
  • 小熊 惠二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 岩月 啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦におけるベーチェット病(BD)患者の病院・病態に関する解析と疫学的調査および治療法について検討を行う。
研究方法
1.前年度の研究方法を踏襲し、BDの病因・病態の継続的解析とともに、新しい治療法の開発を行った。
2.疫学面では一次調査で回答のあった施設を対象に患者数、予後、QOL調査を分析し、口腔内アフタに対するQOL調査についても検討した。
結果と考察
BD発症に関わる責任遺伝子の検討として、地中海沿岸諸国及び日本人患者のHLA-B*510101浸透性の解析から本症が中東地域に発症し、東方に伝播した可能性が示された。患者口腔内細菌S.sanguinis(旧S.sanguis)由来のheat shock protein (HSP)-65及びそのヒトホモログHSP-60間の相同ペプチドは患者T細胞エピトープと対応する。そのペプチドはBD患者末梢血単核球の炎症性サイトカイン産生を抑制し、免疫寛容を誘導できる可能性がある。活動期BD病変部組織および末梢血単核球には特徴的なCD8+T、γδT細胞がNKG2Dを発現し、細胞傷害性を示すが、これらは治療により減少する。Th1型免疫反応によって産生されたTNF-α、IFN-γは細胞内の転写因子signal transducer and activator protein-1 (STAT-1)発現を増強、ケモカイン受容体CCR5、CXCR3の発現を亢進させた。患者の末梢血単核球は微生物由来CpG-DNA刺激で増殖し、その反応にはtoll-like receptor(TLR)-9が関与していることが明らかになり、さらに自然免疫機序に関与するTLR-2/4が重要な役目を演じていた。治療に対する感受性因子として、シクロスポリン感受性に関わる遺伝子多型因子が関与していた。マウスおよびラットの実験的自己免疫性ぶどう膜炎を利用した新規の治療法を試みた。疫学調査から2002年に15,000人受療、発症年齢は男女共30才代が最多で1972年調査より10才ほど高かった。
結論
BDのシルクロード沿岸諸国における発祥・伝播様式、口腔内細菌に対する過剰な免疫反応異常、および疫学や治療的な新知見が数多く得られ、より一層疾患の理解が深められた。

公開日・更新日

公開日
2006-06-12
更新日
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